ポイントは「Jリーグでいかに鍛えられるか」である。
 東京五輪へ向けたU−23日本代表チームの強化が、2020年は行なわれない可能性が出てきた。

 今月15日に発表されたJ1、J2、J3の日程を見ると、12月中旬までほぼ隙間なく埋まっている。FIFA(国際サッカー連盟)があらかじめ定めた9月、10月、11月のインターナショナルウインドウ中も中断しない。

 AFC(アジアサッカー連盟)は10月と11月に、カタールW杯2次予選を開催したいとしている。それに伴って日本代表は、9月のインターナショナルウインドウから活動を開始する予定だ。

 U−23日本代表が活動をするとしたら、日本代表と同時期になる。試合ではなく合宿なら、合同でもいいだろう。ただ、リーグ戦の期間中に日本代表だけでなく東京五輪世代まで招集されたら──メンバー編成に苦慮するクラブが、出てくるに違いない。

 インターナショナルウインドウ中の活動に踏み切ったところで、何ができるのかという疑問も生じる。U−23レベルのマッチメイクは、日本代表よりもハードルが上がる。他国の代表チームとテストマッチを組むとしても、国をまたいだ移動がどこまで認められているか。海外遠征へ出かけたとして、帰国した選手が所属クラブにすぐに合流できるのか。不確定要素が多いことを踏まえると、「Jリーグに集中してもらう」べきなのだろう。

 それが悪いわけではない。

 今シーズンのJリーグは、総力戦の色合いが強くなる。固定されたメンバーでは、最後まで乗り切れないだろう。

 例年以上に試合に追われていくいなかでは、ケガ人が多く出ることも予想される。選手のケガを予防しながら疲労の蓄積を抑えるために、監督たちは選手を使い分けながら戦っていくに違いない。

 すでに再開されたドイツのブンデスリーガとスペインのラ・リーガでは、3人から5人に増えた交代枠が有効活用されている。Jリーグで采配をふるう指揮官たちも、控え選手を積極的に投入していくはずだ。

 その結果として、ポジション獲得に至っていない選手にも、例年以上に出場機会が巡ってくる。実戦で鍛えられる機会は、間違いなく増える。

 五輪の前年や五輪イヤーになると、カテゴリーを下げても期限付き移籍をする選手が出てくる。

 12年のロンドン五輪代表では、杉本健勇がセレッソ大阪から東京ヴェルディへ移籍した。3月下旬から7月中旬までの4カ月限定だったが、セレッソで出場機会を得られなかった長身FWはヴェルディで5得点をあげる。ロンドン行きをつかんだ。

 16年のリオ五輪代表では、矢島慎也が期限付き移籍で経験を積んだ。15年、16年と浦和レッズを離れ、J2のファジアーノ岡山に在籍した。ピッチに立つ機会は飛躍的に増え、プレーの幅も広がっていく。レッズでは攻撃的な中盤のポジションを定位置としてきたが、ファジアーノではボランチでも起用された。

 五輪の登録メンバーは18人だ。W杯より5人少なく、複数ポジションができる選手は価値が高い。2列目からボランチまでをカバーする矢島は、リオでも手倉森誠監督に重用された。

 Jリーグが短期集中的に行われていく今シーズンは、移籍をしなくともコンスタントにピッチに立つ選手が増えるだろう。選手が移籍を求める場合も、これまでより新天地を見つけやすいと考えられる。

 歴代の五輪代表の活動には、「所属クラブで試合に出ていない選手を鍛える」という意味合いが込められていた。リオ五輪前年の活動では、アルビレックス新潟から水戸ホーリーホックへレンタル移籍した鈴木武蔵や、FC東京で出場機会の限られていた中島翔哉らが、当時のU−22日本代表で実戦感覚を磨いていった。 20年のU−23日本代表が強化の時間を与えられなくても、所属クラブでピッチに立つ選手は歴代の五輪代表よりも多くなる。「クラブで鍛えられる」ことが見込めるだけに、強化期間がないことをそのまま悲観的にとらえる必要はないのである。