ある外国人と「ロイホのハンバグ」の思い出 「泣きました」「すごくいい話」...食べログ投稿に感動広がる
「日本思い出のハンバグ」
これは、ある外国人男性が、飲食店情報サイト「食べログ」に寄せた口コミ投稿のタイトルだ。
ロイヤルホスト八丁堀店(東京都中央区)で食べたハンバーグの感想をつづった書き込みなのだが――、これが今インターネット上で、「泣ける」「感動した」と大きな注目を集めている。
「日本の友人に笑われた。でも...」
発端となったのは、あるツイッターユーザーの2020年5月15日の投稿だ。「素晴らしくいい話」として口コミの内容を紹介したところ、翌16日昼までに10万件を超える「いいね」が寄せられるなど、大きな反響を呼んだのだ。
突然、ネットで脚光を浴びた口コミとは、どんな内容なのか。まずは、その書き出しを引用してみよう。
「『×××(投稿者の名前)、 1週間しか日本いないのに、貴重な1回の食事をわざわざファミレスで食べるおかしいだろ』
日本の友人に笑われた。
でも僕はこの八丁堀ロイヤルホストのハンバグ。日本来たら必ず食べる」
投稿日は16年5月。書き込んだのは、台湾から訪れたとみられる男性だ。プロフィールによれば、年齢は30代前半。日本語を勉強しているらしく、少しおぼつかない印象を受ける文章が特徴的だ。
「1週間しか日本にいない」ということは、旅行か何かで来日していたのだろうか。そう考えると、「なぜロイヤルホストに?」という友人の指摘も頷けるような気もする。
投稿者は続く文章で、その理由を次のように説明している。
きっかけは5年前(2011年頃だろう)、彼が初めて1人で来日したときのことだった。東京駅から銀座のホテルに歩いて向かう途中、道に迷ってしまったという。
当時はまだ、日本語を勉強する前だった投稿者。道行く人に英語で道を尋ねても、なかなか通じない。迷っているうちに空腹を覚えたというが、空港で両替した日本円も、移動費でほぼ使い切っていた。
見知らぬ土地でたった1人、日はどんどんと落ちていく。お金もないし、言葉も通じない。相当な不安を抱いていたはずだ。そんなとき、彼の目に飛び込んできたのが――「Royal Host」という英語の看板だった。
「思い出のハンバグ」との出会い
恐る恐る、ロイヤルホストに入ったという投稿者。
ウェイトレスに道を尋ねると、笑顔で教えてくれたという。丁寧に地図まで書いて。さらにロイヤルホストではクレジットカードが使えることも知り、投稿者は「実際に涙が出る安心した」という。
その時に食べたのが、口コミのタイトルにもある「思い出のハンバグ」だった。
――こうした経験から、投稿者は来日するたびにこの店を訪れ、ハンバーグを食べるのだという。仮に友人から笑われたとしても。そしてこの口コミは、次のような文章で締めくくられている。
「今日また同じのハンバグ。黒い鉄板に乗ってパチパチ音がしていい香りだ。
ソースの入れ物が少し変わったかな。お肉は変わらずおいしい。
この店のハンバグ食べると思い出す。初めて日本来た時に出会った親切な日本人。
あのウェイトレスさんはもういないけど、彼女笑顔は覚えている。
ありがとう」
もちろん、投稿者がこの口コミにつけた評価は星5つ、満点だった。彼は食べログに10店舗以上のレビューを投稿しているが、満点がついているのは、ロイヤルホスト八丁堀店だけだ。
「食べログで涙してしまった」
この口コミにツイッターでは、「泣きました、ハンバグ食べたいね」「すごくいい話だった」「食べログで涙してしまった」といった書き込みが。さらに、投稿が話題を集めたことから、口コミは話の舞台となったロイヤルホスト八丁堀店まで届くことになった。
同店が入居するホテルサードニクス東京の公式ツイッターが15日、口コミの内容について「早速レストランスタッフにお伝えさせて頂きました」と投稿したのだ。J-CASTニュースが16日、ホテルの担当者に詳細を聞くと、
「私自身、ツイートを見て感動しまして。ホテルの朝食会場でもあるロイヤルホスト八丁堀店のスタッフにも、さっそく投稿の内容を見せに行きました。(スタッフの反応は)とにかく、かなり驚いていましたね」
と話した。
また、ホテルサードニクス東京では、今回の口コミが話題になったことを受けて、発端となったツイートの画面をスタッフに見せると、ロイヤルホスト八丁堀店での朝食が無料になるキャンペーンを始めた。宿泊者限定で、期間は6月30日まで。
キャンペーンを始めた理由について、ホテルの担当者は、
「こういったご時世の中で、1つの店舗に関する口コミがみなさんを温かい気持ちにさせたことに感銘を受けました。その中で、我々にも何かできることがあるのではないかと考えて、この企画を始めました」
と話している。