赤く囲っているのが「MY BEST PLAYER」。橋本は「キャプテン兼務」で同級生の小笠原氏を選んだ。(C)SOCCER DIGEST

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 今回は僕が実際に対戦した経験から、Jリーグの歴代ベストイレブンを絞り込んでみたいと思います。新旧のチームメイトはすべて対象外にして、日本代表でも「一緒にプレーしていない選手」を選出条件にしました。

 フォーメーションは3−5−2です。

 まず、ゴールキーパーは東口順昭選手です。これまでいろんなキーパーと対戦したり観たりしてきましたが、入ったと思ったシュートをかなりの確率で止めていますよね。僕自身も「これは行った!」と思ったシュートをキャッチされて……、あれは衝撃でした。ガンバが勝利を掴めるのは、彼が堅実なセービングを披露しているからだと思います。

 ディフェンスラインは、3枚。右から大岩剛さん、イリヤン・ストヤノフさん、そして松田直樹さんの並びです。

 大岩さんは、グランパスの時に対戦した際の印象が強い。まさに「ゴールを守る壁がいる!」って感じたのが衝撃的でした。「これがプロのセンターバックなのか」と実感した存在でもあります。

 攻撃にアクセントを付けられるリベロの名手がストヤノフさん。ジェフとの試合で、最終ラインからの持ち上がりでスルーパスを出され、失点したのを鮮明に覚えています。2005年シーズンのホーム最終戦(ガンバが1−2でジェフに敗れた)です。優勝争いをしている最中、ビックリするようなパスを通されました。

 松田さんも大岩さんと同じく、「壁」と感じた選手。ガンバが強くなかった頃に「マリノスとは『格が違う』」と言われた記事を見て悔しく感じたのと同時に、正直そうだなぁとも思いました。そこからなんとか、マリノスに勝てるチームになりたいと頑張ったのを覚えています。

 
 5人の中盤は、右に山田暢久さん、左に三都主アレサンドロさん、2ボランチに福西崇史さんと山田卓也さん、そしてトップ下が小笠原満男さんです。

 山田暢さんは、文字通りのオールマイティー・プレーヤーで、自分が苦手とする超人的な身体能力の持ち主でした。対戦していてもカバーリングの速さや読み、技術とすべてで上回られている感覚がありました。

 それは、山田卓さんも同じ。ヴェルディが安定している時は、たいてい山田さんが局面、局面で顔を出してきて、突破できなかったのをよく覚えています。福西さんは、さばき役のボランチのようで、実は攻撃参加した時の破壊力が凄まじい。「攻撃に来てる!」と分かっていても止められなかったことをすごく覚えています。強かったジュビロでは他の選手がより目立っていましたが、ポイント、ポイントでは“やらしく”光っていました。
 三都主さんは、エスパルス時代に何度も「ウイングバック対決」をした相手です。

 その際、縦に抜かれたくないから行かせないようにしていたら、中に切り込んで、気づけば結局縦に突破されていました。彼もまた衝撃的でしたね。近づいてボールを受けにくくするとワンツーでかわしてくるし、どう止めたらいいのか、当時の僕には理解不能でした。

 小笠原さんは、僕のガンバ時代によくマッチアップしました。彼がトップ下でスルーパスを出す瞬間、自分のアプローチの速度は十分だったと思っていたにも関わらず、ロングスルーパスを出されて得点につなげられたことがあります。そのパスの弾道を彼の真横で見ていたのを、鮮明に覚えています。「あぁ、これくらいのプレッシャーじゃ彼にはなにも感じさせられなかったんだなぁ」と、当時の自分の力不足を嘆いていました。

 
 さて最後は、2トップですね。こちらはワシントンさんと中山雅史さんです。

 中山さんはジュビロの黄金の中盤が織りなす攻撃で、最後の仕上げ(ゴールを決める)を担う人物でした。周りのボール扱いの巧さに比べると特別高くはなかったですが、ゴールを奪うことに関しては突き抜けていました。なんやかんやでけっこう点を取られた印象が強く残っています。試合中、中盤の選手から暴言を受けながらも文句を言わず、やり切り、そしてゴールを奪う。あのメンタル……、本当にスペシャルなストライカーですね。