「飲みにも行かれへんし、退屈や。芸人としゃべられへんのは寂しい」(オール巨人)

「僕は、みんなが言いたいことを言っただけやからね」
 そう語るのは、関西を代表する漫才師のオール巨人(68)。大物芸人が政府に対して《20兆円、給付したらどう!》と、苦言を呈したツイッターへの投稿が、4月13日に大バズり。大きな反響を呼んだのだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍政権は4月16日、以前から野党が主張していたとおり、国民に一律10万円を支給することを発表したが、国民からは「遅すぎる!」と批判が集中。オール巨人のツイートは、その3日前にされたものだった。

4月13日、午後9時27分のツイート(写真は本人のツイッターより)

 くだんの投稿でオール巨人は、《大人10万子供5万全国民に、所得が高くて貰わなくてもやれる人は、確定申告でその分、返したら良いのでは!》と主張。さらに、安倍晋三首相(65)がツイッターに投稿して大炎上した “くつろぎ動画” に似せた画像を4枚添え、《絶対こんな気持ちで、待てません》と結んでいる。

 オール巨人のツイートは3万回近くリツイートされ、8万6000件もの「いいね」が押された。ネット上では、「あのオール巨人が政権批判!」と大騒ぎになったが、彼の真意はどこにあるのか。4月17日の正午前、本人に話を聞いた。

「ああ、あれね。書いたとおりのままや。アメリカでは年収7万5000ドル以下の大人に1200ドル、子供にも500ドルを支給している。日本でも一律10万円、子供には5万円を給付しないと、子供が多い家庭は大変やろ。実際、国にはお金があるという話やし、あるなら支給しないと」

 話は、財務省批判にも及んだ。

「まさか僕のツイッターを見たわけやないやろうけど、今回(の一律10万円支給決定)は公明党が言い出して、二階(俊博)さんも、やっといいことを言ってくれた。麻生(太郎)さんが止めてたんやろうけど、ほんま財務省ってなんなんやろうね。

 僕の店もやけど、近所の小さな店もお客さん来ないし、補償金が出るっていっても、いつもらえるかわからんしで、みんな大変だよ」

 今回のツイートは、そういった市民の声を代弁したというのが、真意のようだ。

「僕は、どこの政党も支持してへんし、あのツイートも『漫才師として笑ってもらえるかな』と思っただけ。要は、『安倍ちゃん、もうちょっと頑張ってや』ということ。ここまで話が大きくなるとは、思わへんかった(笑)。

 フォロワーが、一気に6000人くらい増えた。コメントも1000件くらいきて、『みんながそうは思っていない』みたいな意見もあったけど、できる限り返信したよ」

 ちなみに、ツイートに添付されていた画像のひとつで、オール巨人が手にしている論壇誌『クライテリオン』の表紙には、「安倍晋三 この空虚な器」の文字があった。

「あの本は、(社会工学者の)藤井聡先生にもらったもので、たまたま本棚にあってな。漫画本でもよかったんやけど、あれのほうが、おもしろいかなって。愛読書でも、なんでもないんや。言葉が難しくてな。僕は “かしこ組” やなくて、“アホ組” やから。

 誰の言うてることが正しいのかわからへんけど、いまは国民を助けなあかんし、国はそのためのお金を惜しまず出して、国民が外出せずにすむようにしてもらわんと。医療崩壊も怖いしな」

 約15分間、ボケずに正論を熱弁したオール巨人。去りぎわ、ようやく芸人の顔に戻ってひと言。

「へんなこと書いたらあかんで。書いたらツイッターに書くで(笑)」