昨シーズンのEL準決勝でチェルシーに敗れた後も、「やっぱり、いいですね。またやりたい。個人的には、欧州のこういう舞台でやることや、自分の価値を見出すことにすべてを注いでいるので」と感慨深そうに話していた。欧州強豪クラブとの対戦で得られる経験は、何ものにも代え難いようだ。

 その思いは今シーズンも変わっていない。目指すは、ベスト4まで勝ち進んだ昨シーズンの再現だ。

「昨シーズンは準決勝まで行って、決勝までもう一歩のところまで行けた。あの旅路は、選手だけでなく、クラブにとっても大きかった。夢物語じゃないですけど、フランクフルトのようなクラブは、(簡単に)ヨーロッパリーグやチャンピオンズ・リーグに出られるチームではない。

 そういうチームが準決勝まで行けた。チームだけでなく、街も盛り上がった。それをやっぱりもう一回、今年やりたい。そこまで行きたいという思いがある。アーセナルにとって、ヨーロッパリーグはそんなにモチベーションがないかもしれないけど、僕らにとっては本当に大きな大会。まずは次の試合を勝たないと始まらないです。もう一回、行けるところまで行きたい」

 長谷部の表情と言葉から伝わってきたのは、充実感と向上心だった。堅牢な守備でフランクフルトの最終ラインを支えながら、ELで上位進出を目指す。

取材・文●田嶋コウスケ