マスク氏、タイ洞窟救出ダイバーへの暴言は真意に非ずと主張。「南アではよく使う言葉」、裁判は12月
テスラCEOのイーロン・マスクCEOが、英国のダイバー、ヴァーノン・アンスワース氏を「ロリコン野郎」と罵ったことで起こされた訴訟において、マスク氏は9月16日、弁護士を通じて裁判所に提出した書類の中でアンスワースを罵った言葉は本来の意味で使ったわけではなかったと主張しました。2018年にタイで発生した少年サッカーチームの洞窟遭難事故では、難航する救出作業の現場に、地球の裏側からテスラCEOのイーロン・マスクが救出用の潜水カプセルを携えてはせ参じたことで、さらに世界の注目を集めることとなりました。

しかし現地で救出作業に携わっていたダイバーたちのなかには、せっかく進み始めた救出作業をかき回して欲しくなく、マスク氏の行動を売名行為だと感じる人もいたようです。英国人ダイバーのアンスワース氏もそんなひとりで、彼はTwitterでマスクCEOに対し「宣伝目的のスタンドプレイだ」と非難しました。ところがこのツイートを目にしたのか、マスク氏はアンスワースをロリコン野郎(pedo guy)と罵り応酬するという、大人げない展開に発展します。

数日後、幸いにも少年たちの救出は無事に完了し世界がほっと胸をなで下ろし、マスク氏もいったんはアンスワース氏に謝罪しました。ところがマスク氏の怒りはなぜか収まらず、後に民間の調査員に5万ドルを支払ってアンスワース氏の身辺調査をさせ、アンスワース氏が売春の盛んなタイ・パタヤビーチによく足を運んでいるうえ、現地の10代の女性と結婚したといった話を暴露しました(アンスワース氏の実際の妻(40歳)は、7年前に結婚してずっと夫と一緒にいると発言し、マスク氏の主張に異議を唱えています)。

その後もマスク氏は何度か救出活動の話題が出るたびにアンスワース氏への小児性愛者呼ばわりをやめず、マスク氏に対し再三警告していたアンスワース氏は、訴訟に踏み切ることを決意します。

月曜日に裁判書に提出された書面では、マスク氏は「ロリコン野郎と呼んだことはストレートな意味ではなく、アンスワース氏が小児性愛行為に関与したと主張する意図はなかった」と述べています。そして「pedo guyという表現は自分の生まれ育った南アフリカでは日常的に使われれる誹謗の言葉で、いわば"気味の悪い老人(creepy old man)"と同様の意味で使われるものだ」と釈明しました。

マスク氏の弁護士は、マスク氏は当初はアンスワース氏を本当に小児性愛者だとは思っておらず、ジョークのつもりだったとしています。しかしその後の私的な調査で明らかになった「邪魔な情報」のために、その後のツイートでアンスワース氏をロリコン野郎と呼び続けてしまったと主張しています。

アンスワース氏からの訴訟はカリフォルニア州中央地区にある地方裁判所に申し立てられました。最初の口頭弁論は10月28日に行われ、裁判は12月2日になる予定です。マスク氏は昨年、アンスワース氏からの訴訟提起を「校庭での口げんかみたいなもの」と表現して、訴訟を棄却するよう裁判官に求めていましたが、逆にその要望のほうが棄却されています。