中国メディア・東方網は19日、「日本のサッカーはこの小さなミスを1年研究して、ドキュメンタリーまで作った」とし、日本サッカーの強さが若手の育成メカニズムだけでなく、過去の失敗をしっかり検証し、反省する真摯さにもあるとの見方を示す記事を掲載した。

 記事は、昨年のロシアW杯決勝トーナメント1回戦でベルギーと戦った日本について、ベルギーの楽勝という大方の予想を覆して前半リードを奪い、後半に牙を剥いたベルギーに同点に追い疲れ、アディショナルタイムに決勝点を奪われて惜しくも敗れるという大善戦を演じて見せたと伝えた。

 そのうえで、決勝点を奪われる原因となった「14秒間の小さなミス」について、日本のサッカー界は1年もの時間をかけて反省し、研究を続けてきたと紹介。先日、日本のテレビ局で放送されたドキュメンタリー番組にて、当時の監督だった西野朗氏、試合に出場した長友佑都選手、本田圭佑選手らが真剣に当時を振り返る様子が流されたとしている。

 そして、西野氏が敗戦は自らのせいであり、2−0でリードした時点で「現状維持」というあいまいな指示しか出すことができず、ピッチ上の選手に攻撃をするのか守るのかという心理上の躊躇が生まれてしまったと明かしたことを伝えた。

 記事は、「中国サッカーと日本サッカーの差はいったいどれだけか」という疑問を常々見聞きするとしたうえで、「もしかしたら、サッカーという競技に対する態度が根本的な差になっているのかもしれない」との考えを示した。そして「強豪のベルギーに負けた日本は1年かけてミスを反省した。われわれはどうか。タイやウズベキスタンに負けても、みんないつも通りの日々を過ごしているではないか」と疑問を提起した。

 さらに、日本では久保建英選手のような次世代を担う若手が次々と出ていることもあり、今後日本と中国の差はますます広がるのではないかと予測。日本は20年、30年すれば本当にW杯のトロフィーを抱くことになるかもしれないが、その時中国のサッカーはどうなっているだろうかと結んでいる。

 1年前の「ミス」を反省した西野氏はこのほど、タイの代表監督に就任した。中国にとっては大きなライバルとなるタイ代表を率いる西野氏の采配ぶりに、中国のメディアやサッカーファンもおのずと熱い視線を注ぐことになるだろう。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)