2014年に高級マットレスブランドのリーサ(Leesa)を共同で創業したとき、デビット・ウルフ氏にはすでに直販(Direct-to-consumer:以下、D2C)業界で約20年の経験があった。そのあいだにしっかりとテクノロジーに目を向け続けておくことを学んだと、ウルフ氏はいう。

「私は、現在D2Cマーケティングと呼ばれているものに25年以上関わり、そのあいだに、私がつくったチームは、テクノロジーの変化に合わせて変化し成長してきた」と、ウルフ氏は語る。「テクノロジーは、我々が話題にすることになる変化の多くを牽引している。変化によって人々はチャネルにより容易にアクセスできるようになり、そこで競争が起きる」。

リーサは、立ち上げから数年でD2Cを超える存在になり、その製品はいまでは、自社サイトはもちろんのこと、ウエストエルム(West Elm)でも、Amazonでも販売されている。ウルフ氏は現在、より効率的にリーサを売り込む新しい方法の探索に焦点を絞り、「伝統的な」デジタルマーケティングチャネルと同氏が呼ぶものを超えようとしている。

「マーケティングについて私がはじめて学んだとき、我々が生活のなかで接点を持ち、我々に影響を与え、そして我々が影響を与えることができる人間は2000人だと言われた。いま、朝に2000人のフォロワーを得たとしても、彼らは、あなたのアイデアに耳を傾ける本当のフォロワーではない。我々は、彼らの体験や我々の製品について本当のストーリーを語ってくれる現実の人々を探している。こんな言い方をするのはおかしいが、伝統的なデジタルチャネルを使うのがだんだん難しくなっているのは明確なので、より効率的なチャネルを見つけなければならない」。

米DIGIDAYのポッドキャストシリーズ「メイキング・マーケティング(Making Marketing)」の最新エピソードでは、シャーリーン・パタク記者がウルフ氏と、ブランドパーパスを確実に築き上げる方法や彼が動画広告を強く押す理由、「オムニチャネル」の定義などについて議論した。そのハイライト部分に編集を加えて以下に紹介する。



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ブランドパーパスを企業のストーリーに組み入れる



「現在、我々が寄贈したマットレスに3万3000人が寝ている。これは偶然ではないが、マーケティング策でもなかった。私が会社を立ち上げたとき、儲けることだけに関心があったわけではなかった。何か人と違うことがしたいという気持ちがあった……ブランドメッセージに関して本物であることを語る人は多い。私は『本物の(Authentic)』という言葉が大嫌いだ。何かが本物であることを証明しなければならないことを暗にほのめかしているからだ。問題は、製品を買ってくれたら我々がすることを、顧客のところに出向いて伝えたくないことだ。我々が行ってきたことについて話す、顧客とサービスについてのコミュニティが本当に欲しい。それが一番難しい点だ。会社が大きくなる頃には、(実際の話、我々はあっという間にスタートアップとして大きく成長したわけだが)ストーリーを十分力強く、また効率的に伝えられていないことに気づく。だから出かけて行って、彼らを手助けしたいと思う。自社がやってきた良いこと、自分が良いと感じることをやり、それを現実味のあるやり方で伝えるにはどうするか、それが課題だ。そこが難しい」。

主要デジタルプラットフォームの代わりを見つける



「我々は基本的に、あらゆるものを入念に調べている。現在のマーケティング法、より効率的にマーケティングを行う方法に目を向け、新しいプラットフォームを常に試している。コネクティッドTVもあるし、動画フォーマットを利用しているプラットフォームは複数ある。我々から見て、それは大いに理にかなっている。我々は創業当時からテレビを利用している。効率的なチャネルだからだ。動画は効率のよいメディアだと思う。人々に1000ドル(約10万円)以上を使ってくれと頼むメッセージを伝えたいなら、テレビでもなんでも、動画フォーマットは重要な要素だと私は常に感じている」。

オムニチャネルが意味するもの



「何らかの意味があると、私が信じている言葉は、オムニチャネルだ。製品メーカーとしても小売業者としても、成功したいなら、人々が欲しがるブランドを擁し、人々が買いたいと思う製品を至るところに置かなければならない。『至るところ』は我々の戦略ではない。我々はどこにでもあるわけではないが、オムニチャネルではある。つまり、各チャネルをある種限定的に独占しているという意味だ。デパートから大型小売店、家具屋、寝具店まで、すべてを含む。それらを一つひとつを見て回ることはないだろうが、我々自身の店舗も含め、ほとんどのチャネルで我々の製品を見ることになる」。

Gianna Capadona(原文 / 訳:ガリレオ)