中日・平田良介

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◆ 平田出場試合は25勝26敗とほぼ5割

 前半戦を4連勝で締めくくった中日。80試合を終え37勝43敗の5位だが、2位まで2ゲーム差と7年ぶりのAクラスも射程圏内だ。再び活気づいてきたチームを牽引しているのが平田良介。左ふくらはぎの肉離れで1カ月間戦列を離れたが、改めて存在の大きさを示している。

 リーグ3位の打率.329をマークした昨季同様、今季も打線の核を担っていた平田。しかし、5月中旬に左ふくらはぎを痛め長期離脱を強いられた。それでも、6月20日の西武戦から戦列に復帰すると、チームは次カードの日本ハム戦から今季初の5連勝をマーク。平田復帰後、チームは9勝5敗で前半戦を終えた。前半トータルで見ても、平田が出場した試合(全試合スタメン)は25勝26敗と善戦。背番号6の影響力を物語る。

 打撃センスと高い守備力だけではなく、復帰後に唸らされたのは走塁スキルだ。チームが今季初めてサヨナラ勝ちした6月30日の阪神戦では、0−0の11回裏に三塁走者としてサヨナラのホームイン。相手投手は直球とフォークが軸のドリスで、打者・高橋のカウントは2ストライク0ボール。変化球の可能性が高い状況でセカンドリードを大きめにとっており、ドリスが叩きつけたフォークを捕手・梅野は懸命に一塁方向へブロックしたが、本塁上はクロスプレーにすらならず、平田が判断よく決勝ホームへ滑り込んだ。

◆ 一死満塁で逆走!? 次の1点を優先した好判断

 前日29日の阪神戦でも、平田は優れた状況判断を見せている。中日は2回、苦手の青柳から2点を先制したあと、1番・平田も左前適時打を放ち3点目を奪った。なおも一死満塁で2番・京田はニゴロ。この時、前進守備だった二塁・糸原は一塁寄りの難しいゴロをスライディングキャッチした。次の瞬間、一塁走者の平田は、ランナーが詰まっている状況にもかかわらず逆走。二塁の糸原が目の前におり、直接タッチされた上での併殺を回避しようとしたのだ。

 結局、糸原はボールを握り損ね落球。中日は4点目となる三塁走者が生還し、平田はボールを拾い直した糸原の二塁送球により二塁封殺となった。糸原が落球したことで平田の走塁は凡走に映ってしまったが、仮に平田がそのまま二塁へ向かっていれば、捕球済みの糸原にタッチされていかもしれない場面。また、先に一塁へ送球され京田がアウトになっても、平田はタッチプレーになるため、挟殺の間に三塁走者の生還は認められる。4点目を優先した瞬時の好判断だった。

 もう1つ。4連勝で前半戦を締めた7月10日広島戦の好走塁にも触れておきたい。1番の平田は1点を追う8回に先頭打者として出塁し、無死一、二塁から3番・堂上の送りバントで三塁へ進んだ。この堂上のバントは、捕手前へ少し転がっただけの打球。三塁封殺の危険性もあったが、素晴らしいスタートと加速を見せた二走・平田を見て、捕手の石原は一塁送球を選択した。

 打者・堂上のカウントは1ボールで、2球目の外角寄りのボールにバットを引っ込めてもおかしくなかった。二塁走者としては難しい状況だったが、ここでも平田は素晴らしい反応を見せた。結局このバントが決まり、続く4番・ビシエドは敬遠。二死後、連続押し出しでの逆転勝利につながった。

 走塁にフォーカスしたが、打撃面でも今季ここまで打率.308、出塁率.372、5本塁打、23打点、OPS(出塁率+長打率).847と好調な平田。7年ぶりのAクラスへ、後半戦も平田良介にかかる期待は大きい。