ウズラ卵の品質を確認する豊橋養鶉農協の担当者(愛知県豊橋市で)

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 国産ウズラ卵の価格が高止まりしている。指標となる愛知県豊橋市場の卸売価格は1箱(30個入り)当たり219円と、5年前に比べて2割高い。農家の廃業に歯止めが掛からず、生産量が落ち込んでいるためだ。生卵とゆで卵での一般的な流通に加え、薫製など味付け卵の販売が定着し、引き合いは強い。「今後も需給逼迫(ひっぱく)が予想される」(流通業者)見込みで、実需の増産への期待は大きい。

 豊橋市場の価格は主産地の愛知県にある豊橋養鶉(ようじゅん)農協がまとめる。卸売価格は2016年から高値を維持。飼料価格の高騰で農家経営が圧迫され、供給量が減っているためだ。5年前は1箱185円だった。

 同農協の調べによると、県内の養鶉農場数(5000羽以上)は17軒で、全国の生産量の6割を占める。ただし、県内の農場数は16年に比べて2割(5軒)減った。全国9道県の農場数は、現在34軒(推計値)という。

 業務推進部の葛山貴之部長は「高齢農家の離農や、農場の規模縮小が進み、1件当たりの飼養羽数も減っている」と指摘する。

 需要は堅調だ。味付け卵の販売の伸びが後押ししている。味付け卵の1卵当たり小売価格は生卵の4倍近いが、コンビニやメーカーの新商品開発が進み、消費が定着してきた。「家飲みの機会が増え、おつまみ用で引き合いがある」と都内の流通業者は話す。

 供給量が足りず、「九州地方の学校給食業者からも取引の問い合わせがある」(同)という。不足分は中国産など輸入で代替する業者もあるが、「食味が優れた国産への要望は根強い」(九州の給食業者)という。