見た目はもちろん運動性能の面でメリットは大きい

 最近は純正装着でも17インチ、さらには19インチも当たり前。扁平も45や35なんていうのも珍しくない。軽自動車でも15インチを装着しているモデルは多い。つまりホイールは大きくて、タイヤは薄いが主流ということになる。

 大昔はスポーツカーでも14インチで、80扁平というのが普通だったし、純正の場合、インチ数も扁平も運輸省(現在の国土交通省)の認可が必要だった。しみじみ、いい時代になったものである。

 今一度、大径低扁平のメリットを整理して見ると、まずはなんといっても見た目のよさであり、これは商品力につながるもの。見慣れてしまったというのはあるが、あらためて14インチの70タイヤというのを見たりするとどこかもっさい感じがする。

 そして見た目以外では、まず走行安定性の向上がある。タイヤが低扁平になれば、それだけタイヤ自体のよじれが少なくなり、安定性が増す。ハンドリングもよじれの分、シャープになる。

 また低扁平のタイヤは、ほとんどがワイドトレッドになるので、グリップ力自体も増す。自動車メーカーが採用を進めるのはこれらの点があるからだろう。

乗り心地や騒音というデメリットもある

 ただし、低扁平のタイヤはサイド部分が薄く、タイヤ自体のクッションが弱くなるため、乗り心地が悪くなるのは当然だし、騒音についてもハンディとなる。自動車メーカーとしても、この点は仕方がないでは済ますことはできず、開発時にはタイヤメーカーも巻き込んで、見た目と性能をどこでバランスさせるか。仕様を煮詰めるのに苦労している。

 よく言われる、本当にそのクルマのポテシンャルを引き出したいなら、タイヤもディーラーで補修部品として取り寄せてもらい交換するのがベストというのはこれが理由だ。銘柄やサイズがまったく同じタイヤでも、新車装着のタイヤ(OEタイヤ)と市販のタイヤ(リプレイスタイヤ)とはコンパウンドが違うことは多い。

 最後に自分でインチアップする場合の注意点だが、空気圧の指示はあくまでも純正サイズのもの。外径は同じでインチアップするとタイヤ内部の空気量が減るので、その分空気圧は高める必要がある。実際の空気圧は係数をかけて出せるので、ぜひ把握しておいてほしい。