インターネットは自由な活動や発言が可能な空間である反面、特定の人物やコミュニティに対して嫌がらせのような行為を続け悪意をまき散らす「荒らし」が存在します。荒らしの攻撃的な行動は現実にも飛び火し、ネットで荒らし行為を行っていた人物が、荒らし行為を批判していた有名ブロガーを刺殺する事件が起こるなど、社会問題に発展することも。そんな荒らしへの対処法として認知療法的なアプローチを取り入れたものを、ソフトウェア開発者のShlomi fishさんがブログで紹介しています。

Dealing with Internet Trolls - the Cognitive Therapy Approach - Unarmed but still Dangerous

http://unarmed.shlomifish.org/909.html

荒らしに有効な対処法としては、「荒らしの言い分を批判する」「荒らしを無視する」「荒らしをコミュニティからBANする」「荒らしをしないでほしいと説得する」「荒らされているコミュニティやプロジェクトを閉鎖・中止する」などが挙げられますが、これらの方法は認知療法的アプローチから見ると間違っていて、効果はないとShlomi Fishさんは指摘しています。



そして、荒らしにはどのように対処すべきなのかについて、Shlomi Fishさんは以下の3点を挙げています。

1:荒らしに何を考えているのか尋ねる

荒らしに対してなぜ荒らし行為を続けるのか、自分たちの何が間違っているのかを質問し、荒らしの考えをしっかり把握することが必要です。

2:荒らしの思想に同意する

そして、荒らしの考えを否定せずに肯定します。この時、攻撃的になることなく、より柔和な物言いをする必要があります。また相手の思想への同意には、荒らしの怒りを静め、対等に話し合える場を作る目的があります。

3:最終的に荒らしと共通認識を持てるように話し合う

対等に話し合える場ができたら、荒らしとコミュニケーションを取り、意見が一致するポイントを探します。柔和なコミュニケーションを数回繰り返すと、荒らしの態度は落ち着きを取り戻し、フレンドリーになります。

Shlomifishさんは「荒らしをするような人物はまたいつか荒らし行為をするだろうからコミュニティから排除したほうがいい」という意見も認めつつ、インターネットで活動する人にも何らかの価値があり、コミュニティを成長させるためには荒らしを排除するだけではなく容認することも必要だと主張しています。



さらに、Shlomi Fishさんは、荒らしと適切なコミュニケーションを取るために

1:まずはリラックスする

2:難しい言い回しを避け、わかりやすいコミュニケーションを図る

3:彼の発言を批判しない

4:非論理的で感情的な対応は避ける

5:丁寧かつフレンドリーな対応を心がける

6:言いたいことをちゃんと伝えるために、簡潔な言葉にしすぎない

7:たくさん書いても読みにくくなってしまうので、言葉を多く使いすぎない

8:メールを使う時は、相手の言葉を引用してから自分の発言をするよう心がける

9:引用する際は省略せず、十分な量のテキストを心がける

10:相手の言うことを分かったようなふりをせず、結論を急ぎすぎない

11:格言・ことわざ・韻文を使わず、自分の言葉で意見を示す

12:相手を尊重し、ふざけすぎない

13:乱暴な言葉や断言するような口調を使わず、「〜と思う」など柔らかく遠回しな言い方を使う

14:安易なレッテル貼りはしない

15:常に「Hi(やあ)」と親密に呼びかけつつ荒らしに謝意を表する

という15点を心がけるよう呼びかけています。