いわて産業振興センターなどが開発中のサバの骨抜きロボット

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 東日本大震災の被災地で、水産加工にロボットを利用するための研究が始まっている。津波被害を受けた沿岸部では人口流出が進み、人手不足が深刻化。今後もその解消は見込みにくく、作業の機械化を進めるだけでなく、センサーや情報処理技術などを取り入れたロボットの活用が期待されている。

 公益財団法人「いわて産業振興センター」(盛岡市)は昨年5月、盛岡市内のシステム開発会社と共同で、サバの骨抜きロボットの開発に着手した。飛鳥川和彦常務理事は「水産加工はきつい職場。重労働をロボットにまかせ、従業員には商品開発や営業など付加価値の高い業務をしてもらえるようになれば、効率が上がる」と話す。

 目指すのは、コンベヤーで運ばれるサバの切り身の骨を、ロボットのアームを使って抜くことだ。切り身は柔らかい上に形が一定でなく、骨も身に埋もれて確認しづらい。骨の位置の特定が課題となっており、同センターの山根成樹氏は「カメラやセンサー、画像認識などの技術を駆使し成功させたい」と話す。

 今回のプロジェクトでは、2018年度中にロボットを開発し、青森県八戸市の水産加工会社に納入する計画。その後も改良を重ねながら、ロボットの商品化を目指す。

 飛鳥川常務は「日本食は、安心安全な健康食として世界中に広がっている。水産加工に限らず、農林漁業の困りごとの解決につながるようなロボットを開発していきたい」としている。