打ち上げ迫る!なぜイプシロン3号機は日本の宇宙産業にとって大事なのか
3号機には軌道への投入精度を高めるための機構「PBS」を改良し取り付けた。JAXAイプシロンロケットプロジェクトチームの井元隆行プロジェクトマネージャは、「推進薬タンクを大型化し、燃焼中の機体の姿勢を調整する液体推進システム『ラムライン推進系』を削除するなど、複雑なシステムを簡素化し、信頼性を向上させた」と説明する。
イプシロンは4号機以降、JAXAが機体の性能を決める要求設計のみを手がけ、製造をIHIの100%子会社であるIHIエアロスペース(東京都江東区)に一元化しコスト削減を図る。
JAXA側は今まで製造にかけてきた人的資源を研究開発に振り向けられる。井元プロジェクトマネージャは「年1回の確実な打ち上げを目指していく」と強調。4号機以降の開発では一度に複数の衛星の軌道投入も検討している。
一方、アスナロ2では地表を1メートルの空間解像度で撮影する「合成開口レーダー」(SAR)を搭載する。曇りや夜間でも地表を見られることが特徴で、災害状況把握や国土管理、資源管理などへの利用が期待されている。経済産業省の助成事業でNECが開発した。
NECは運用だけでなく稼働する衛星の可視化や撮影画像の配信などの機能を持つ地上システムを開発しており、4月からアスナロ2を運用する。9月からは撮影した画像の販売を始める計画だ。製造と運用、画像販売までを手がけるサービスは国内では初めて。
さらに「画像だけでなく地上システムなどのインフラをセットにして、衛星を持たない新興国など世界で販売したい」(清水基充ナショナルセキュリティ・ソリューション事業部事業部長代理)としている。
(文=冨井哲雄)
