ポイント連携の“先駆者”、楽天は携帯3強に風穴を開けられるか
現在の携帯電話市場は大手3社が9割を握っている。楽天はグループが連携して展開している累計発行額1兆円を超える「楽天スーパーポイント」などを活用し、グループ内の多様なサービスと組み合わせて顧客に提供。大手3社による寡占市場に風穴を開ける構えだ。
楽天は18年1月にも自前の基地局を持つ携帯電話事業会社を設立し、総務省に電波の割り当てを申請する計画。19年中にサービスをはじめ、1500万人以上の利用者の獲得を目指す。基地局などの整備に向けて、25年までに最大6000億円程度を投資する。
総務省は増大する携帯電話の通信トラフィック量に対応した割り当て周波数の拡大を不可欠と認識しており、携帯電話向け周波数の追加割り当てを検討している。楽天はこの追加割り当てに申請し、携帯キャリア事業の参入を目指す方針を決めた。
すでに楽天はNTTドコモの回線を借りて仮想移動体通信事業者(MVNO)として格安スマホ事業「楽天モバイル」を展開している。
11月にはプラスワン・マーケティング(東京都港区)の格安スマホ事業「フリーテル」を買収し、契約回線数は140万件に達した。楽天の通販サイト「楽天市場」などとポイントで連携する独自策を展開し、顧客を増やしている。
格安スマホ市場の成長鈍化
一方、格安スマホ市場は事業者の相次ぐ参入により競争が激化している。さらにNTTドコモ、KDDIといった携帯大手による料金引き下げなどが格安スマホ事業者の顧客獲得を阻み、格安スマホ市場の成長は鈍化している。楽天も「我々も(契約者の獲得が鈍化するなど)影響を受けている」(経営幹部)と打ち明ける。
このため楽天は自ら回線設備を持つ事業者となり、携帯大手3社が寡占する市場での勝負に打って出ることにした。自前での基地局整備は先行投資の負担が大きい。
ただ、一定数の顧客を獲得することができれば、現在手がけている携帯大手に回線料を支払って展開するMVNOに比べて投資効率を高められる。
その分をサービスの向上などに投資して競争力を向上できるという計算だ。キャリア事業への参入により、柔軟な料金体系の設計も可能になるという。
MM総研(東京都港区、中島洋社長)の横田英明常務は、「MVNOはキャリアの枠組みの中でしかサービスを提供できず、キャリアと同じ競争力は持てない」とした上で、「楽天は以前からモバイル事業で利用者1000万人以上の獲得を目標に掲げており、そうした目標を達成するための判断がキャリア市場への参入だったのだろう」と分析する。
国内のスマホ市場は成熟期を迎えている。市場は拡大を続けているものの、少子高齢化の加速などにより、今後の大幅な成長は見込みにくい。このため携帯大手はポイントサービスをテコに既存のスマホ顧客に多様な商材を提供し、躍起になって売り上げ拡大を図っている。
キャリアによるサービスの多様化には、市場が成熟化する中で新規加入者の獲得とともに既存顧客をつなぎ留める狙いがある。
