ダイエットをしていても食事が間違っていると結果が出ません(写真 : Myviewpoint / PIXTA)

ダイエットや健康な体づくりのために推奨される「バランスのよい食事」。しかし、“バランスがよい”と言われても、「その具体的なよいバランスってのを教えてよ!」と思うのが正直なところだろう。
理想のバランスがわからないから、「何を食べていいのか」も、「何を避けるべきなのか」もわかるはずもない。そこで、『筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方』の著者であるTestosterone氏に健康的な食生活の実践方法を聞いた。

日々、筋トレのすばらしさを発信している私だが、筋トレよりも大事にしているのが食事だ。食事は健康な体づくりをつかさどるもの。いくら筋トレを頑張っても、食事をおろそかにすると健康から遠ざかってしまう。これは、マッチョも肥満の人も標準体型の人も、老若男女すべての人に当てはまることだ。

特に、ダイエットをするにしても、1番に見直す必要があるのは食事だ。「食べた分、運動をする!」という人もいる。確かに不可能ではないが、体重60kgの人が10km走っても消費カロリーは600kcal。10kmを走るのは相当しんどく、毎日続けることもなかなか難しい。そこで今回は、“どちらの食材がダイエットに適しているか”という対決形式で、実践的な知識と多くの人が見落としがちなポイントをお送りしよう。

ダイエットに適している食材対決

和風ハンバーグvs.焼き肉

どちらも原材料は牛肉だが、ダイエット時にはどちらが適しているのだろうか? 「和風」とついていると、ヘルシーなイメージがあるだろう。確かにデミグラスソースに比べればカロリーや脂質は少なくなるが、そもそもハンバーグ自体に大量の脂質が含まれている。脂のほうが安く、人は脂を美味しいと感じるので、当然店側はハンバーグに大量の脂を練り込む。しかし、脂肪のカロリーはたったの1gで9kcal。たとえば、150gのハンバーグのうち40gの脂が練り込んであれば、脂質だけで実に360kcalも摂取することになる。

このように、ハンバーグやソーセージといった加工品は栄養素が把握しづらく高カロリーであることが多い。当然、食べ過ぎはNGだが、より素材に近い焼き肉のほうがダイエット時には適しているのだ。ただし、焼き肉のタレにも意外と炭水化物が含まれており、カロリーも低くない。なるべく塩で食べることをおすすめする。

煮魚vs.焼き魚

煮魚も焼き魚もどちらも素材に近いが、どちらがダイエットに適しているだろうか? 結論から先に言えば、焼き魚だ。煮魚を作る際には、みりんや砂糖が使われるが、こういった調味料にもカロリーはしっかりと含まれている。

調味料のカロリーをわかりやすく把握するために、サバ缶を例にとってみてみよう。あるメーカーのサバの水煮(200g)の場合、栄養素は「タンパク質:30.6g、脂質:32.4g、炭水化物:0g、414kcal」である。一方、同じメーカーのサバのみそ煮(200g)は「タンパク質:32.4g、脂質:32.4g、炭水化物:14.6g、480kcal」。

水煮からみそ煮になるだけで、炭水化物にして約15gもの差が生まれるのだ。ピンとこないかもしれないが、炭水化物15gというのはバナナ半分以上の炭水化物量とカロリーに値する。よって、ダイエット中には煮魚よりも焼き魚がおすすめだ。もし居酒屋に行くのであれば、焼き魚や刺し身のような素材に近いものを選ぼう。

サラダチキンはマッチョ御用達のアイテム

サラダvs.サラダチキン

どちらもヘルシーなイメージがある両者。特に野菜は「体によさそう」という理由で多くの人が取っているはずだ。しかし、そのときに生野菜のサラダにドレッシングをドバドバかけている人はいないだろうか。ドレッシングの中には大量の砂糖や油が使われている商品も多くあるので、注意が必要だ。試しに、市販されているドレッシングの栄養成分表示を確かめてみてほしい。

飲食店でサラダを食べる時も注意が必要だ。例えばシーザーサラダ。シーザードレッシング、ベーコン、クルトン、卵、チーズといったトッピングには多量の脂質が含まれる。場合によってはメインディッシュのカロリーを超えてしまうサラダもあるぐらいだ。サラダで大量のカロリーを摂取することになるなんてもったいないと思わないだろうか。

下手にサラダを食べるならサラダチキン(皮なし鶏むね肉)のほうがベター。サラダチキンはご存じ、マッチョ御用達のアイテム。マッチョが好むだけあり、高タンパクで安価。そして、タンパク質は筋肉を保つ役割を果たし、肌や髪爪の原料ともなる、ダイエット中に最も意識して摂取したい栄養素と言っても過言ではない。

あるサラダチキンの栄養素は「タンパク質:29.7g、脂質:1.1g、炭水化物:0.37g」だが、かなりヘルシーであることはすぐにわかってもらえると思う。サラダとサラダチキンを単純に比べるのは少々強引かもしれないが、「健康そうだから」「ヘルシーだから」という理由でドレッシングまみれのサラダを食べている人に気づいてもらえたら幸いだ。

野菜ジュースvs.マルチビタミン&ミネラルのサプリメント

「最近、野菜不足だから……」と思って、意識して野菜ジュースを飲んでいる人は多いだろう。残念だが、商品によっては気休めどころか逆効果になっている可能性がある。なかには、飲まないほうがマシという商品もたくさんある。というのも、野菜ジュースの中には「野菜エキスのちょっと入った砂糖水」みたいな商品もあるからだ。味が好きで他の食事を調整してでも飲みたければ止めないが、単に健康のために飲んでいるのであれば今すぐに中身を確認したほうがいい。「野菜不足=ビタミンやミネラル不足」と思って飲んでいるのであれば、野菜ジュースよりもマルチビタミン等のサプリメントで補給することをおすすめする。

正体は砂糖たっぷりのデザート

グラノーラやアサイーボウルvs.和朝食

はやりのグラノーラやアサイーボウル、健康的な朝食というイメージかもしれないが、その正体は砂糖たっぷりのデザートみたいなものだ。美味しさを追求するため、砂糖でたっぷりコーティングされているうえにタンパク質は少なく、ほぼ炭水化物で構成されている。ダイエットとは少し話がずれるが、この手の食品は食後の血糖値が急上昇しやすい「高GI食品」となる。体は上がった血糖値を下げるためにインスリンを分泌するため、血糖値が急降下。すると、血糖値の乱高下によって「朝から元気!」どころか体のだるさを助長することになる。また、空腹も感じやすくダイエットの大敵となる。加えて、インスリンが分泌されている間はカロリーが体脂肪として取り込まれやすく、インスリンを「太らせるホルモン」や「肥満ホルモン」と呼ぶ人もいるぐらいだ。

それならば、白米、お浸し、焼き魚、みそ汁といった、俗にいう和朝食のほうがよほど健康的。炭水化物、たんぱく質がバランスよく摂取でき脂質も少ない。せっかく日本伝統の朝食が健康的なのに、グラノーラやアサイーボウルの健康イメージにだまされ砂糖にまみれた不健康な朝食を食べないように気をつけてくれ。


グラノーラやアサイーボウルが好きで食べている人、栄養素やGI値を理解したうえで自分へのご褒美として食べている人を否定するつもりはいっさいない。しかし、健康を意識して取っている食品が意外と落とし穴であることは珍しくないことは覚えておいてほしい。

ここまで対決方式でお送りしたが、選ばれなかった食品はダイエット時に避けるべきということであって「絶対にNG」なわけではない。そして、もしダイエット時に避けるべき食品を食べてしまっても「一巻の終わり」となるわけではないので、焦る必要はない。ペースを崩さず、次の食事からリスタートすればいい。

実は、ダイエットなどで避けるべき食品を食べてしまっても、その後の調整がとてもスムーズにいく方法がある。それが、“マクロ管理法”だ。このマクロ管理法は、決められたカロリーと栄養素のバランスを守れば、食べる順番も食事の回数も食事のタイミングも自由という長続きしやすいメソッド。具体的な方法については、別の記事「『筋トレの鬼』は、結局何を食べているのか」で解説しているので、そちらを参考にしてほしい。