P・ウタカは「経験豊富なベテランのようなプレーをする」と久保の強心臓ぶりに舌を巻く。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[ルヴァンカップ5節]FC東京 4-3 大宮/5月10日/味スタ  5月3日にトップチームデビューを飾ったばかりの久保建英が、ルヴァンカップ5節の大宮戦で2試合連続の出場機会を得た。  2トップの一角に入った久保のプレー機会は、9分間の出場で3回。85分のファーストプレーでは、中島翔哉がボールを受けた瞬間にゴール前のスペースに動き出すと、スルーパスに合わせてペナルティエリア内左から左足を振り抜いたが、わずかに枠を外してしまう。  直後の86分、89分には中島、ピーター・ウタカとのスムーズな連係で大宮ゴールに迫り、スタンドを沸かせた。この日、4得点を挙げた攻撃を牽引した助っ人によれば、後者のプレーはお互いのイメージが合わなかったという。 「久保の前方にスペースがあったので、僕は彼にスペースで受けれるようなパスをしたかった。でも、彼は足もとで要求していたので、少しズレが生じてしまったんだ」 

 久保自身も試合後、「サイドにいた柳(貴博)選手にパスが出ると思ったので、100パーセントで走っていませんでした。全力で走っていたら、あの中へのスルーパスに届いたと思います」と認めている。しかし、P・ウタカはすかさず「ただ……」と言葉を続ける。 「久保にゴールを決めて欲しかったから、パスを意識していた。今日の試合では合わなかったけど、トレーニングや会話を重ねればコンビネーションは良くなっていくと思う。久保にボールを預けることで、彼がゴールを決めた時にもっともっと自信を持てる。次に期待したいね」  ヨーロッパ(ベルギー、デンマーク)やアジア(中国、日本)、さらにはナイジェリア代表としてもプレー経験があるP・ウタカに、改めて「プレーヤー・久保」の印象を聞いてみた。彼の言葉からは久保を「15歳」という振るいにかけず、同じ立場の選手として評価していることが伝わってきた。 「久保は才能溢れるヤングプレーヤーだよ。ボールを受けること、ボールを失うことを決して恐れない。まるで経験豊富なベテランのようなプレーをする。彼の存在はFC東京にとって、そして日本のサッカー界にとって非常に大きなものだよ」  大宮戦でトップチーム初ゴールを決めることはできなかった。しかし、5月21日からは日本代表の一員としてU-20ワールドカップに臨む。舞台を世界に移し、どんな活躍を見せてくれるのか。その一挙手一投足が注目される日々はまだ続きそうだ。 取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

 

【ルヴァンカップ FC東京4-3大宮PHOTO】点の取り合いはFC東京が勝利。久保は途中出場!