攻守に抜群の存在感を見せる広島の菊池涼介

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◆ 7日の巨人戦で5安打と打撃好調

 巨人との首位攻防戦で何とか3連敗は免れた広島。負ければ巨人に3.5ゲーム差に詰め寄られるという日曜日の一戦で、9回裏二死から起死回生の同点本塁打を放ったのが守備の達人・菊池涼介だった。試合はその後、新井貴浩にサヨナラ打が飛び出し、25年ぶりのリーグ制覇へ向け、この逆転勝利がシーズンを左右する大きな一戦となった可能性もある。

 菊池はこの試合で同点弾を含めて5打数5安打の大当たり。8月の月間打率は驚異の.519で、シーズン打率を.328まで伸ばした。セ・リーグトップの坂本勇人が.343と山田哲人、筒香嘉智といった20代のライバル選手らとともに、シーズン終盤まで首位打者争いを繰り広げそうだ。もし菊池が首位打者に輝けば、広島の選手としては2004年の嶋重宣以来。右打者としては1978年の水谷実雄以来、38年ぶりの快挙である。

 さらに今季の安打数は136を数え、2014年にマークした自己最多(188安打)更新も十分狙えそうだ。調子を維持し、安打を積み重ねていければ、日本人の右打者としては初めてのシーズン200安打達成も現実味を帯びてくる。

◆ 鉄壁の守備は今年も健在

 打者としての貢献も光る菊池だが、やはりその天才的な守備に触れないわけにはいかないだろう。2013年には二塁手としてプロ野球記録となる528捕殺を記録。翌14年にはその記録を自ら535に塗り替えた。レギュラーに定着した2013年から3年連続でゴールデングラブ賞にも輝いており、その守備範囲の広さはプロ野球史上最高との声も多い。

 今季ここまで積み上げた補殺数は377。これはシーズン518個ペースで、再び自身が持つプロ野球記録更新も十分狙える数字である。開幕からフル出場を続ける同じく二塁手の山田の補殺数が338ということからも菊池の守備範囲の広さがよくわかる。

 さらに失策数は2013年から18→12→10と着実に減らしており、今季はここまで僅かに3個だけという鉄壁の守りを披露している。守備範囲が広い選手は得てして難しい体勢からの悪送球など失策数は多くなりがちだが、今季の菊池はさらに一段階上のレベルに到達したといっても過言ではない。

 チームが25年ぶりのリーグ優勝を果たせば、その活躍からセ・リーグMVP候補にも名前が挙がるだろう。不動の2番打者として、鉄壁の二塁手として、菊池が攻守でチームを引っ張る。

文=八木遊(やぎ・ゆう)