最後のピースは指揮官の賭け…負傷の岩波を選択した手倉森監督「俺の中で確信した」

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 最後まで頭を悩ませた。U-23日本代表の手倉森誠監督はリオ五輪メンバー18人の選考にあたり、「南アフリカ戦でのそれぞれのパフォーマンスを見せつけられたとき、ここから絞らないといけないのかという思いに駆られ、すべての選手に対して思い悩んだ」としたうえで、センターバックの選考が最も苦渋の決断であったことを明らかにした。

「その中でも高いパフォーマンスをしてくれた中谷進之介、プラスここ(南アフリカ戦)には来なかった岩波の回復状況。こればっかりは予測での計算しかない。そこを決断するにあたって、自分としては慎重だったし、大きな決断だった」

 6月29日の南アフリカ戦にフル出場し、最後のアピールに成功したDF中谷進之介(柏)か、手倉森ジャパン発足当初から主力であり続けながら負傷離脱中のDF岩波拓也(神戸)か。熟慮の末、最後は「このチームに絡み続けてきた」岩波を選択した。

 指揮官の賭けでもあり、情報収集の結果でもある。「協会スタッフが情報を取りながら実際に足も運んで、彼のトレーニングをしっかり見てきた。僕自身、その映像を常に見させてもらっていた」。5月21日に行われたトゥーロン国際大会初戦のパラグアイ戦で負傷した岩波は左膝内側側副靭帯損傷で全治6週間と診断された。まだ実戦復帰を果たせていないが、回復状況は絶えず追跡してきた。

「思った以上に回復が早く、来週から完全合流すると。ともすれば9日の試合に間に合うという状況まで来ているという情報も来ている」。週明けからチームに合流し、早ければ9日のJ1鳥栖戦(ノエスタ)で復帰の可能性もあるという。五輪本大会の初戦は8月4日、ナイジェリア戦。十分に時間はあるとの判断だ。

「間違いなくコンディションをそこ(本大会)に持ってこれるだろうと俺の中で確信した」。自らの決断に責任を持つかのように力強く断言した手倉森監督。最後は「南アフリカ戦のとき、サポーター席で日の丸に『岩波』と書かれていたのがやけに目立っていたので」とジョークを飛ばし、報道陣の笑いを誘っていた。

(取材・文 西山紘平)


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