現在国際宇宙ステーション(ISS)から分離されたOrbital ATKの補給船「シグナス」で、興味深い実験が行なわれています。それはなんと、補給船の中で「火事」を起こすというもの。一体、何の目的でこの実験は行なわれるのでしょう?
 
シグナス補給船は3月26日に、国際宇宙ステーションへの補給物資や実験機器を搭載して打ち上げられ、ISSにドッキングしました。そして内容物は宇宙ステーションのクルーによって回収され、6月14日(現地時間)にはISSを離脱。その後、内部に搭載された火災実験装置「Saffire-I (Spacecraft Fire Experiment)」が地上スタッフにて起動されたのです。
 
この実験では、無重力下における「火の挙動」と宇宙船の安全性の向上のために行なわれました。シグナス補給船は実験時にはISSから分離されたので、宇宙飛行士にも危険は及びません。さらに実験の後、補給船は大西洋上にて8日後に燃え尽きる予定です。
 

 
こちらが実験に使われたSaffire-Iです。装置の内部には40×100センチメートルのコットン・ファイバーガラスと点火用のホットワイヤー、それに送風用のファンが備え付けられています。そして火災の様子はカメラで撮影され、地上へと送信されるのです。
 
NASAは実験の意義について、「将来的に長期にわたって人が宇宙船に滞在する場合に備え、致命的な事故になりうる火災でどのように物が燃えるのかを知る必要がある」と説明しています。確かに逃げ場のない宇宙船内での火災は、即座に致命的な事故につながります。以前には地上での事故ですが、アポロ1号が発射台上で火災を起こし3名が亡くなったという痛ましい事件もありました。
 
今後の安全な宇宙開発のために、きっと今回の実験は役立つことでしょう。
 
Image Credit: NASA
■NASA sets fire to unmanned cargo ship in the name of safety
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