地上で何度も宙返をしたり体をグルグル回転させると、めまいや吐き気がしますよね。私も子供の頃はそれが面白くて何度も試しました。しかし、それを宇宙(微重力下)でやったらどうなるのでしょう? そんな子供時代の疑問を解決するために、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在している宇宙飛行士が体を張って実験してくれました。
 

 
今回の実験を行なったのは、イギリスのティモシー・ピーク宇宙飛行士。彼はISSですでに6ヶ月近くを過ごしているので、すでに無重力環境での生活には慣れきっています。そして彼は無重力下で宙返りをした後にめまいが起きないかどうかを試すために、同僚のティモシー・コプラ宇宙飛行士に体を回してもらいます。
 
動画を見ると、かなり高速で宙返りをした後でもピーク宇宙飛行士は「全然普通だよ」と余裕の表情です。本人も「アメージング!」と若干驚いていますが、いったいピーク宇宙飛行士の体に何が起きたのでしょう?
 
一般に、宇宙飛行士は宇宙ステーションに到着した後に24時間ほどひどいめまいや吐き気を催します。これは、無重力環境に脳が適応できずに起きる現象です。無重力下では内耳の感覚器にある「耳石」が浮きっぱなしとなり、脳に信号が送られず視野との情報差でこのようなめまいが起きます。
 
しかし無重力下で24時間〜48時が経過すると、脳は耳からではなく視野からの情報で平衡に関する情報を取得しようとします。つまり、「内耳の平衡器官が鈍感」になるのです。するとこのように、無重力下でグルグル宙返りをしても脳が判断に迷うことなく、また頭痛やめまいも起きない…という仕組みです。
 
たとえ無重力のISSの中にいても、体をそれに適応させてしまう…まさに、人体の神秘ですね!
 
Image Credit: ESA
■Spinning Fast In Space Make You Dizzy? Astronaut Experiment
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