大きな目玉「大赤斑」がグルグル表面を回り、どこか恐ろしげな太陽系第5惑星こと「木星」。超高速のジェット気流が渦巻くともいわれるこの木星の大気ですが、今回研究者は「木星の電波地図」の作成に成功。これにより、雲の下に隠されたアンモニアが渦巻く木星の大気の様子が観測されました。
 

 
今回の観測に用いられたのはカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)です。そして研究の共著者であるメルボルン大学のRobert Sault氏によると、「木星は10時間に1度のスピードで自転しているので、電波地図の作成は通常難しいのです。しかし我々は新たな方法を用いることで、アンモニアが上昇と下降する様子を観測することができました」と報告しています。
 
そして今回観測されたのは、表層から100km下のアンモニアです。研究者たちはアンモニアガスの三次元的な地図を作ることにより、その上昇と下降の様子を観測。そして、アンモニアを豊富に含んだガスが雲から上層に現れることが判明しました。一方、電波や赤外線などでスポットとして観測される場所は、アンモニアが少ないそうです。
 
さらに、上部の硫化水素アンモニウムの層の温度はマイナス73℃、そしてアンモニア氷の雲の温度はマイナス122.22℃であることもわかりました。そして今後、研究者たちは木星の雲を生成する「熱源」を探る予定です。そのシステムがわかれば、太陽系外の木星に似た巨大な惑星についても理解が深まることが期待されています。
 
このようにさまざまな事実が判明しつつある木星ですが、さらに来月にはNASAの木星探査機「ジュノー」が同惑星に到達します。ジュノーは木星を周回しつつ、水やアンモニアなどの大気の成分を観測する予定です。意外と知られていなかった木星の本当の姿ですが、最新研究や探査機によっていよいよ解き明かされようとしています。
 
Image Credit: Imke de Pater, Michael H. Wong (UC Berkeley), Robert J. Sault (Univ. Melbourne)
■Scientists break through the clouds to reveal source of Jupiter’s wild weather
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