認知症を患った大山のぶ代、ドラえもんは「普通に見てる」
少子高齢化にともない、深刻な社会問題になっている高齢者の認知症。厚生労働省によれば、2012年時点で高齢認知症患者の数は約462万人にのぼり、2025年には65歳以上の5人に1人、700万人を突破する見通しだという。いまや「国民病」といってもいい、恐ろしい病の一つといっていいだろう。
先日も、国民的アニメ『ドラえもん』の声優で知られる大山のぶ代(81)が、2年ほど前から認知症を患っていることが明らかになった。5月19日発売の週刊女性はその闘病生活を詳報している。
記事の中で、大山の夫で俳優の砂川啓介氏(78歳)は病状について、
「2分前のことも忘れる」
「今、しゃべったことも覚えていないことが多い」
と語っている。それだけでなく、怒りっぽく、感情の起伏も激しくなったという。これも認知症の特徴の一つである。
認知症に詳しい医師の1人はいう。
「記事を読む限り、かなり進行しているといっていいのではないでしょうか。“今、しゃべったことも覚えていない”となると、徘徊など、認知症特有の深刻な症状が出ている可能性もあります。ひょっとしたら、“ドラえもん”の声優をしていたことも覚えていないかもしれません」
実際どうなのか? 記事のなかで夫の砂川は次のように語っている。
「起きて食事して、薬を飲んで、寝て、という毎日です。外出はほとんどしておりません。外に出るのは病院に行くときくらいです。自分が『ドラえもん』の声をやっていた記憶があるのかないのかもわかりませんが、現在放送している『ドラえもん』を普通に見ていますね」
しかし、話したことをすぐに忘れてしまうため、意思の疎通は困難。大山が実際にどう思っているのか、それを知ることは不可能だ。
夫妻に子どもはいない。夫の砂川も78歳の高齢である。「老老介護」という社会問題もあり、身につまされる話である。
(取材・文/小林靖樹)