政権の行方を左右しかねない一大事が勃発

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 中国の「虎も蠅も叩く」官僚腐敗摘発の中心人物、王岐山・中国共産党中央規律検査委員会書記。彼が近々、訪米することは、欧米のメディアを中心に報道されている。

 狙いは習近平国家主席が今年9月に訪米することの地ならし説。さらに米国亡命中の天安門事件のリーダー的人物の母親が病気で重篤のため、習近平国家主席に一時的帰国を求める書簡を出した。その件についても王氏が米国と何らかの摺合せをする説も囁かれている。

 しかし、中国政界、官僚と太いパイプを持つ中国事情通はこんな驚くべき情報をもたらす。

「緊急訪米の本当の理由は、もっと危ないもの。実は習近平周辺の腐敗記録がアメリカに密かに持ち出されてしまった。その回収策ではないか、という説もあるのです」

欧米メディアも奔走

 事の顛末はどうもこうらしい。

 昨年末に腐敗で失脚した胡錦濤・元国家主席の側近、令計画・元全国政治協商会議副主席の弟、令完成が現在米国に亡命している。令氏が持ち出したと見られているのだ。

「令完成は手元に習主席らの不正蓄財に関する資料を大量所持しているというのですよ。習主席にとって、表に出たら絶対に困る資料。そのため、中国外務省には任せられず、中国官僚腐敗を摘発しつづけるトップであり、習の右腕ともいわれる王が自ら事態収拾に乗り出さざるを得ないところに追い込まれているのでは」(事情通)

 中国は令完成を暗殺しようとしても、アメリカではあまりにもやりにくい。そこで王が直々に訪米、中国が大量保有する米国国債などでアメリカを揺さぶり、オバマ大統領と直談判してでも、令完成の引き渡しと資料回収を図ろうというのが最大の狙い。

 しかしアメリカも主権を侵されるようなことに簡単にはイエスとは言えない。むしろ、その中身を知った上で、中国に揺さぶりをかけるジョーカーにしたいところ。そのため中国、令完成と水面下で激しい攻防が続いているという説だ。

「その説が本当なら、令にしても命の保証、さらには兄の令計画の恩赦などが確約できなければアメリカに対しても気が許せない。一方、習主席にしてもハンドリングを誤ると政権の終焉にもなりかねません。欧米のメディアもこの世紀の大スクープのために、あの手この手で令完成に近づき、資料を何とかキャッチしようと躍起と言われています」(メディア関係者)

 最終的にはオバマ大統領がどう腹をくくるか、とも言われている。前出の事情通は言う。

「何かと失策続きで人気も凋落ぎみのオバマ大統領。しかしその話が本当なら、中国問題を上手くハンドリングすることで国内的にも対外的にも高く評価されるます。それだけに、オバマ周辺は慎重にことを進めようとしていると言われています」

 一部メディア、米中政府は王の動き、オバマ大統領の動きを固唾を飲んで見守っているという。

田村建雄(たむらたてお)1950年生まれ。地方新聞記者から週刊誌記者に。現在は月刊誌、夕刊紙などに政治、事件記事など寄稿。著書に『ドキュメント外国人犯罪』『中国人毒婦の告白』など多数。