２ステージ制への変更は、リーグ戦にどのような影響をもたらすのか──シーズン開幕前の選手たちは、「やってみないと分からないですねえ」と困惑の表情を浮かべたものだった。

　ゴールデンウィークに突入する現在は、引き締まった表情が並ぶ。「もう中盤戦なんですよね」という答えが返ってくる。

　４月29日のリーグ戦で、第１ステージは８節を迎える。５月２日の翌９節は折り返し地点だ。

　９節では浦和対ガンバの首位攻防戦がある。
　
　２ステージ制はホーム＆アウェイではないため、両チームの対戦は一度限りだ。
７節終了時で首位の浦和は、ホームゲームでガンバを叩いておきたいところである。一方のガンバは、敵地でレッズをつかまえたい。優勝争いを左右する大一番だ。

　５月10日の11節で大型連休中の連戦を終えると、第１ステージは残り６試合だ。もはや終盤戦である。

　優勝ラインはどのあたりになるだろうか。

　かつて２ステージ制が採用されていた２００４年までのＪ１リーグは、現在と同じ18チームで争われていない。最大でも17チームだった。延長?ゴールが導入されていたシーズンもある。

　現在のリーグ戦に当てはめやすいのは、03年と04年だろうか。チーム数はふたつ少ない「16」だが、延長?ゴールがない。２０１５年にも共通する優勝への道筋が見えてくる。

　03年の第１ステージを制したＦ・マリノスは、15試合を10勝２分３敗で駆け抜けた。同年の第２ステージは混戦で、優勝したＦ・マリノス、２位の市原（現千葉）、３位の磐田までが７勝５分３敗だった。

　翌04年の第１ステージは、Ｆ・マリノスが11勝３分１敗で頂点に立った。同年の第２ステージは、浦和が12勝１分２敗で優勝した。

　高いレベルでの競争を臨みたいだけに、勝点36以上を優勝ラインとしたい。17試合なら12勝５敗、11勝３分け３敗、10勝６分１敗といった成績だ。１シーズンにならせば勝点は「72」である。２０１０年の名古屋、11年の柏と同じ勝点だ。

　１シーズン制で争われた過去数年のＪ１リーグは、最終節まで優勝争いがもつれるのがお決まりとなっていた。飛び抜けて強いチームが見当たらないからだが、過去３シーズンの優勝チームの勝点は「63」か「64」。である。

　物足りない。２ステージ制へ踏み切らざるを得なかったのも、ハイレベルな優勝争いが繰り広げられていないことが一因にあるはずだ。

　大型連休中の５連戦は、最大でも中３日のハードスケジュールとなる。だが、日程の厳しさを理由に省エネ的なサッカーが増えたら、最終局面に寄りかかった盛り上がりでしかない。２ステージ制にした意味が薄れてしまう。

　おりしも「タフさ」が問われているタイミングである。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の日本代表就任で、いきなり球際が強調される風潮には違和感を覚えるが、Ｊリーグの特徴に球際の激しさがあがってこないのも事実だ。連戦を言い訳にしないタフなゲームを求めたい。

　大型連休中には、テレビでＪリーグを観戦する人も多いだろう。中継に関する私見も最後に書き添えておきたい。

　若手の定義は海外に合わせてほしいと思う。欧州や南米では、10代後半でのプロデビューは当たり前だ。20代前半にして十分な実績を積んでいる選手もいる。高卒１年目、大卒１年目だから「若手」とひと括りにするのは、世界のサッカーとの整合性が取れないと思うのだ。

　数字に対する認識にもズレを感じる。

　第７節のＪ１の中継を観ていて、「すでに２得点をあげています」という実況があった。アタッカーの選手を紹介するフレーズで、６試合で２ゴールは多くない。普通である。「すでに」と強調するまでもない。

　サッカー中継は専門化している。マニア受けする用語が、当たり前のように使われている。ただ、日本語で適切に表現するべきサッカーの常識もあるはずだ。耳触りの良い専門用語よりも、世界の潮流に沿った事実をしっかりと伝えてほしいのである。それもまた、Ｊリーグの人気回復につながるはずだからだ。