近鉄球団買収宣言

──宮内さんの夢が銀行の頭取か、プロ野球球団のオーナーだということは。

 知っていた。近鉄球団買収も、最初の頃は関心がなかった。まあ、手を上げた前後には、多少あった。夢物語と思ったが、楽天の人から「今なら近鉄買えるよ」と電話がかかってきて、宮内さんの夢もかなえられると思ってやった。

LDFの社員採用など

──LDFの採用は。

 ごく一部の人を除いて、宮内さんが決めていたと思う。給与も把握していなかった。給与を知ってびっくりした。飛び上がった。ボーナスが大変な額だった。一事務員の女性に900万円みたいな。「オイ」みたいな感じ。

──宮内さんと中村さんの関係は。

 上下関係だと思う。だが、高校の同級生だ。

──中村さんとは。

 交流が薄かった。LDFのフロアに行っても、話すことはなかった。

株式分割

──株式分割で株価上昇を狙ったとする指摘については。
 
 違うと思う。論理・主張がわからない。分割の機能は、投資単位を引き下げて、特に個人投資家が買いやすくすること。いいことです、もちろん。東証も「やれやれ」と推奨している。

──検察は分割で株価が上がると言っている。

 上がるかどうかはわからない。神の手というか。

──繰り返した目的は。

 投資単位の引き下げで、流動性が向上するし、たくさんの人たちがLD株を買えるようになる。個人投資家が増える。株を持っていれば、興味を持ってもらえる。

社内連絡体制など

──社内の連絡はどうしていたのか。

 基本的にはメールと会議。

──いつメールを見るのか。

 空いている時間。

──直接会いに行くことは。

 まずはメール。時間があれば会いますが、あまりなかった。LDFに行くことはあった。同じフロアだったが、別の区画でカギがあった。システム担当者やファンド担当者に会いに行った。宮内さんとは会ったが、中村さんとはなかった。話すことがなかったから。

予算達成のため、架空売り上げを計上したとの疑惑

──2002年9月期から業績予想をしたきっかけは。

 東証に言われたから。

──上場してすぐは出していないが。

 伝え聞きだが、かなりしつこく言われていたらしい。

──なぜしなかったのか。

 正確な情報を公表するだけの能力がなかった。上場して人が増え、経費も売り上げも急拡大して、体制が追いつかなかった。いくら東証に言われても、上場直後では無理だった。上場から2年経って、まあままの制度でなら出せるかなと。

──未達はあったのか。

 ありました。

──予想未達はまずいと思ったか。

 まずいとは思う。

──検察側は2004年9月期連結決算で、経常利益予想50億円を達成するために架空売り上げを計上したと指摘している。

 荒唐無稽な主張だ。でっち上げてまで、達成しようとは思わない。

粉飾決算を謀議したとされる戦略会議について

──戦略会議の位置付けと目的は。

 「みんな、営業をがんばろうよ」と話すことと、部署間の営業的連携を上げることが目的。たとえば、A事業部が外注を発注しているが、B事業部が同じようなことをやっている。こういう場合の連携を推進する。もちろん、経費の話は細かくする。特に赤字の事業について。議事録は丹澤さんからメーリングリストで来た。ここ1年くらいは見るようにしていたが、開くのに何秒もかかり、うっとうしくて面倒くさいので、時間がある時は見たが、ないときは見なかった。

──赤字の部署は。

 メディアだった。担当の伊地知さんとは議論した。メディアの赤字は仕方ないと思っていた。しかし、社長がそういったら、バンバン使ってなおらない。メディア事業部が立ち上がらなければ、LDという会社をやっている意味がない。ファイナンスの利益がいくら上がっても、評価されない。一時的なことと思われるから。ヤフーは今の人がみんな辞めても機械的に利益が上がり、評価される。そのような体制にしない限り、評価されない。だから、死んでもがんばる。

──ファイナンスの定例会議は。

 投資案件を検討する会議。方向性を決めるというより、どういう風にしようかと話し合う場所。

──宮内さんや中村さんは、投資案件の進ちょく状況を堀江さんに報告する場だと証言していたが。

 おおむね違う。参加者全員に説明する場だ。

──あなたに報告するための会ではないのか。

 だと思うが。だとしたら、私が必ず出席していないとおかしい。

──2004年2月18日の定例会議は、堀江さんは欠席している。

 会議の議事録はメーリングリストで流れていたと思うが、見ていない。出席している時は、買収する予定の会社の業務内容や儲かっているか否かを見る。買ってもいいと思う会社は、ポータルサイトのユーザーをたくさん持っている会社であったり、資産をたくさん持っている会社。

──宮内さんと堀江さんで、意見が割れることはあったか。

 ありました。

──どういうことで。

 イーバンク。

──意見が割れた場合は。

 宮内さんがやると思っていたら、進むんじゃないか。

──堀江さんが折れるのか。

 放置するというか、進んでいってしまう。

──マネーライフは。

 反対だった。僕は最初見たとき、いらないという話をした。

──他にいらないと言った会社は。

 ジャック。しかし、選挙に出馬した時に、取締役会に上がっていた。だから、宮内さんが責任を持ってやるのだろう、と。

──買収の仕方は、定例会議で検討されるのか。

 そうですね。現金買収か株式交換かくらいは検討する。

──株式交換の方法は。

 その情報は、僕にはいらない。それによって僕が損することも得することもない。現場で決めればいい。それまで僕が決めていれば、現場はいらなくなってしまう。(つづく

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