13日夜、東証内で記者会見するライブドアの(右から)山崎徳之代表取締役、平松庚三執行役員社長、清水幸裕副社長(撮影:吉川忠行)

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LD、上場廃止決定で一問一答(上)

―― スポンサー探しは? 何社ぐらいから支援の話があったか?

平松 数社から支援の申し出があり、慎重に話をしている。守秘義務があるので、具体的には申し上げられない。組むとすれば、我々と先方、両者にとって最大のメリットがあるところを選ぶ。支援先を探すだけでなく、自主再建も大きな選択肢の1つ。

―― 支援を持ちかけているのは、事業会社か、ファンドか?

平松 いろいろな会社から話を頂いている。

―― TOBなど、経営陣の意思とは別の方向性もあるが?

平松 ポテンシャルリスクは認識しているし、コンティンジェンシー・プラン(危機管理計画)も用意している。

―― 証券取引法違反で刑が確定した場合、ファイナンス事業ができなくなるのでは?

清水 そのような必要性は感じている。ファイナンスの子会社の主要株主の変更が必要であれば、対応できるように対策を講じるつもり。売却は、何種類かのオプションの1つ。

―― 株主数は?

清水 はっきりとは分からない。大株主としてファンド数社が出てきているが、個人株主の新規登録もある。

―― 3つのコア事業を切り離すことを提案しているところもあると思うが、そういう提案は断るつもりか?

平松 いろいろな方法がある。フレキシブルに考えていきたい。

―― 株主構成が現段階で、堀江被告が18%、フジテレビが12%、ファンドをあわせると20%ぐらいという。新経営陣が計画通り選任されるのか? そのために対策をうっているか?

清水 新しく大株主となったファンドとは、誠心誠意話をし、現状説明している。今後も協力してもらえると思う。

平松 堀江を除く大株主とはかなりコミュニケーションを取っている。承認されると思う。

―― ファンドとはどのような話をしたのか?

平松 しっかりやるようにと。具体的な話は控えるが、かなり激励された。経営陣の交代などの話題はでなかった。

―― 会計ソフト「弥生」の親会社が粉飾を行っていた。マイナスの影響あったか?

平松 当初危惧(きぐ)していたことだが、ほとんど影響なかった。2月は売り上げが8億を超え、2月としては過去最高を記録した。

―― (熊谷容疑者の代わりの)一時取締役の選任はしないのか?

平松 裁判所に申請は済ませてある。選任され次第、熊谷は退任。

―― 外部調査委員会はいつごろ報告するか?監査法人のめどは?

平松 監査法人のめどはついており、最終の話し合いをしている。ほとんどの資料が押収されており、調査は困難でもある。慎重に考えている。

―― 自力再生も可能というが、パートナーと組むメリットは?

平松 金融資産、人的資産など、経営に必要なものは十分にある。ただし、再生のスピードを上げるパートナーがみつかった場合、フレキシブルに考える必要があると認識している。

―― パートナーの持ち株比率はどうするか?

平松 そこまで踏み込んだ話はしていない。

―― ライブドアにとって、株式市場とは何だったのか?

平松 上場企業としての自覚が育っていなかった。2000年4月に上場したときは、従業員数数十人、売り上げ数億円の、本当の意味での小さなベンチャー企業だった。6年たった今、売り上げは数100億円、従業員は数千人になり、20万人の株主がいる大企業になっていた。

 ライブドアの心の中には、新興企業であり、ベンチャーで常に走っていくチャレンジャーという認識があった。大きくなればなるほど社会的責任の重みが増すのが社会の常(識)であるが、社内の意識と社会の見るライブドアとの間に
ギャップがあったと思う。上場企業に向けられた社会からの責任、期待度の大きさを、今ほど思い知らされ、勉強させられた瞬間はない。

―― 現取締役が退任した後、経営に関与することはあるか?

平松 退任した後、直接関与することはない。6月までは、取締役の責務を果たしてもらうつもり。本人たちもそう認識している。

―― よいパートナーとは? フジテレビは交渉相手の1つなのか?

平松 フジテレビは大変重要な大株主。緊密にコミュニケーションを取っている。パートナーになるのに一番大切なのは事業のシナジー。

―― 14日、前経営陣が保釈される可能性ある。会社経営にかかわる可能性は?

平松 そういうことはないと思う。

―― ライブドアに対する思いは?

山崎 現時点では、上場廃止という重い現実を受け止め、株主、取引先、関係者の方々に申し訳ないという気持ちのみ。これまで6年ライブドアにかかわってきたことは後悔していないが、取締役という立場として一連の不正を見抜き、防ぐことができなかったのは、一重に私の不徳の致す所だったと反省している。

羽田 今回の件を非常に重く受け止めている。ご迷惑をかけたことを深くおわびしたい。残された短い間に、誠意を見せ、信頼回復したい。

―― 信頼回復は進んでいると思うか?

平松 そう思いたい。みなさんの前で謝罪するのは、今日で最後にしたい。

―― ファイナンス事業は先行きが定まらない。ポータル事業は利益が出ていない上、広告も減っている。現状、ライブドアの再生にシナジーが出るとは思えない。ポータルが“お荷物”に変わっているのではないか?

平松 ライブドアには非常に質の高いファイナンス事業、営業利益率40%を誇る「弥生」というビジネスがある。メディア(ポータル)事業は今期浮上するという腹づもりがあったが、その時期を後ろに延ばさなければいけないのは確か。近い将来必ず黒字化するのは不可能ではない。

―― ライブドア・ポータルをあきらめないのか?

平松 ライブドアは技術的に強いバックボーンを持った会社。外から見ると、コンテンツの集まりに見えるが、すべてのコンテンツを支えているのは、ライブドアが持つネットワーク、ウェブのテクノロジー。競合他社と比べても優位に立つ技術がある。

―― 上場廃止になっても上場企業と同じような情報開示をすると約束できるか?

平松 そのつもりです。【了】

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