東証、上場廃止決定で一問一答
東京証券取引所は13日夜、新興企業向けの東証マザーズに上場しているライブドア(LD)と、一連の事件に関与していた関連会社のライブドアマーケティング(LDM)の株式を4月14日に上場廃止することを決定した。東証は、LDの粉飾決算や、LDMがLDと共謀して行った偽計取引や風説の流布が明確になったとして、投資家の証券市場に対する信頼を著しく毀損(きそん)するものであると判断した。同日に開かれた記者会見で、東証の西室泰三会長兼社長と長友英資常務(上場部門担当)が行った報道陣とのやり取りは次のとおり。
── 上場企業が今回のような事態になったことへの感想は。
西室 「誠に残念だと申し上げるしかない」
── 22万人というライブドア株を保有していた個人投資家に与えた影響とは。
西室 「私どもが得ている情報では、個人株主に対して、残念ながら極めて悪質な形での隠蔽(いんぺい)が行われ、内容的に正しくない情報開示が続けられた。特にマザーズ上場企業に対しては、四半期ごとに公認会計士によるしっかりした監査のある情報開示を義務付けているにもかかわらず、その内容そのものが正しくなかったという結果は、極めて残念に思う。このような事態に陥ることがないように十分に周知し、注意を促していく」
── 東証の管理体制にも問題があったのか。
西室 「今にして思えば、東証自体が知ることができないぐらい、検察や証券取引等監視委員会の調査によらねば分からないような巧みな隠蔽が行われた。監視体制とは、基本的にはそれぞれの情報開示や公認会計士による監査などのシステムが、現在の本道であると思っている。それらを偽る事態については、残念ながら検察や証券取引等監視委員会の力を借りるほか方法がない」
── どのような方法で、上場廃止決定の根拠となる情報を得たのか。
長友 「強制捜査や関係者逮捕が先行したことで、会社側からの開示、東証への説明が十分とは言い切れない。これまでの上場廃止の可能性のあった案件とは異なるということは確か。両社から可能な限りの説明を受けたり、捜査当局から状況などを可能な範囲で把握するなど、客観性を積み上げながら上場廃止への該当基準について総合的に判断した」
── 午後の取引開始時間が30分延刻されたままだが、いつまで続くのか。
西室 「直接LDに関係するというよりは、東証自体の取引の増加の中で、東証の持っているシステムのキャパシティが必ずしも十全ではないということが理由。もうしばらくは30分の取引時間の延刻は続けざるを得ない」
── 東証のシステムの処理能力が高めるまで取引時間短縮ということか。
西室 「そうとも言い切れない。現状で取引量そのものは、一時期よりも下がっている。また、ライブドアそのものの取引が続くのは来月13日までなので、しっかり状況を見定める。できる限り早く元に戻せるようにしていきたい」
── 東証が上場企業について調査する権限を強化した方がいいと考えるか。
西室 「結論は出していないし、いろんな意見がある。いろんな意見を聞きながら、監督官庁と相談していきたい」
── 今後の上場企業と契約を交わす際に、内部統制、情報開示についてどう徹底を求めるか。
西室 「コーポレートガバナンスについてしっかりやるという宣誓書に、各社のCEO(最高経営責任者)とCFO(最高財務責任者)が署名して提出してもらいたい。それぞれの会社が外部に情報開示する場合に、CEOがしっかりと責任を持って出す形にしてもらうための仕組みを構築中だ」
── LD、LDMの株式の取引時間が1時間に制限されているが、投資家に売買する平等な権利を与えるために柔軟な対応はできないのか。
西室 「LD株の取引時間の制限については、東証の歴史の中で初めてやったこと。極めて特殊なケースを受けて、市場全体の参加者にとっての利益になるという認識でやったことであり、その状況は今も変わっていない。現状どおり1時間でやっていく」
西室 「上場廃止の日程については、今回延ばす理由は見当たらない。通常の場合、1カ月あればすべての株の処理は原則的には終わるはず。ギリギリになって気づいたような株主の救済まで考える必要はない。売却する気持ちのある株主が売却できる期間としては十分」
── 堀江貴文前社長は容疑を否認しており、初公判の罪状認否まで待つことも可能だと思うが、告発段階で決断することは妥当なのか。
西室 「罪状認否で必ず罪を認めるのであれば、それまで待つことは可能。ただ現状において罪を認めることを期待することはまったくのナンセンス。告発されたのは現実の事実」
【了】
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── 東証の管理体制にも問題があったのか。
西室 「今にして思えば、東証自体が知ることができないぐらい、検察や証券取引等監視委員会の調査によらねば分からないような巧みな隠蔽が行われた。監視体制とは、基本的にはそれぞれの情報開示や公認会計士による監査などのシステムが、現在の本道であると思っている。それらを偽る事態については、残念ながら検察や証券取引等監視委員会の力を借りるほか方法がない」
── どのような方法で、上場廃止決定の根拠となる情報を得たのか。
長友 「強制捜査や関係者逮捕が先行したことで、会社側からの開示、東証への説明が十分とは言い切れない。これまでの上場廃止の可能性のあった案件とは異なるということは確か。両社から可能な限りの説明を受けたり、捜査当局から状況などを可能な範囲で把握するなど、客観性を積み上げながら上場廃止への該当基準について総合的に判断した」
── 午後の取引開始時間が30分延刻されたままだが、いつまで続くのか。
西室 「直接LDに関係するというよりは、東証自体の取引の増加の中で、東証の持っているシステムのキャパシティが必ずしも十全ではないということが理由。もうしばらくは30分の取引時間の延刻は続けざるを得ない」
── 東証のシステムの処理能力が高めるまで取引時間短縮ということか。
西室 「そうとも言い切れない。現状で取引量そのものは、一時期よりも下がっている。また、ライブドアそのものの取引が続くのは来月13日までなので、しっかり状況を見定める。できる限り早く元に戻せるようにしていきたい」
── 東証が上場企業について調査する権限を強化した方がいいと考えるか。
西室 「結論は出していないし、いろんな意見がある。いろんな意見を聞きながら、監督官庁と相談していきたい」
── 今後の上場企業と契約を交わす際に、内部統制、情報開示についてどう徹底を求めるか。
西室 「コーポレートガバナンスについてしっかりやるという宣誓書に、各社のCEO(最高経営責任者)とCFO(最高財務責任者)が署名して提出してもらいたい。それぞれの会社が外部に情報開示する場合に、CEOがしっかりと責任を持って出す形にしてもらうための仕組みを構築中だ」
── LD、LDMの株式の取引時間が1時間に制限されているが、投資家に売買する平等な権利を与えるために柔軟な対応はできないのか。
西室 「LD株の取引時間の制限については、東証の歴史の中で初めてやったこと。極めて特殊なケースを受けて、市場全体の参加者にとっての利益になるという認識でやったことであり、その状況は今も変わっていない。現状どおり1時間でやっていく」
西室 「上場廃止の日程については、今回延ばす理由は見当たらない。通常の場合、1カ月あればすべての株の処理は原則的には終わるはず。ギリギリになって気づいたような株主の救済まで考える必要はない。売却する気持ちのある株主が売却できる期間としては十分」
── 堀江貴文前社長は容疑を否認しており、初公判の罪状認否まで待つことも可能だと思うが、告発段階で決断することは妥当なのか。
西室 「罪状認否で必ず罪を認めるのであれば、それまで待つことは可能。ただ現状において罪を認めることを期待することはまったくのナンセンス。告発されたのは現実の事実」
【了】
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