ボトルネックになっている熊野町JCT。今回開通したC2品川線はピンクの部分(左:2015年3月、清水草一撮影。右画像提供:首都高速道路)。

写真拡大

3月7日に首都高C2中央環状品川線が開通し、浜崎橋JCTで渋滞がほぼ解消。また新宿から羽田まで混雑時でも19分で行けるようになるなど、利便性が向上しました。しかし渋滞が悪化している場所もあるようです。

首都高初の渋滞地点は解消されたものの

 2015年3月7日(土)に首都高C2中央環状品川線が開通し、首都高の渋滞状況に大きな変化が起きました。

 なかでも、C1都心環状線浜崎橋JCTの渋滞消滅はその象徴事例。なにしろ浜崎橋は1968(昭和43)年、首都高で最初に渋滞が発生した場所であり、長年にわたって首都高における渋滞の代名詞でした。個人的に『浜崎橋はなぜ渋滞するのか』という解説書を出したこともあるので、感慨はひとしおです。

 ですが一方、以前からの渋滞ポイントである熊野町JCTと大橋JCTではかえって渋滞が悪化しています。品川線の新規開通区間は渋滞フリーのパラダイス状態が続いていますが、北寄りほど混雑が激しくなっているのです。

 首都高速道路が発表したデータを基にC2山手トンネル内の1日あたり交通量を、南寄りから順に並べてみましょう。

大井〜大橋間/5万台(新規開通区間)
大橋〜西新宿間/8万台(57%増)
西新宿〜熊野町間/8.7万台(13%増)

 板橋〜熊野町間は夕方ピーク時、ここを先頭に外回りが大橋JCT付近まで10km前後渋滞するようになりました。以前の渋滞長は4km程度でしたから、大幅な悪化です。この渋滞内の平均速度は約15km/h。渋滞10kmなら通過に約40分を要します。

 また西新宿〜熊野町間では、これまでほぼ見られなかった内回りにも渋滞が発生するようになりました。

大橋JCTの渋滞を悪化させているマナー違反

 もうひとつの渋滞ポイント、大橋JCTはどうでしょう。3月16日(月)18時台の渋滞ピーク時に、山手トンネル内回りから3号渋谷線下り方面へ、実際に走行してみました。

 渋滞は初台南入口の直後から始まり、大橋JCTまで2.1km。渋滞長はわずかですが、この通過に27分を要しました。平均速度は5km/h弱。歩くほどのスピードです。

 原因のひとつに、大橋JCTのC2から3号線へ向けて右側に分岐するところで、左車線からの割り込みが多発していることがあります。ここは車線変更禁止区間ではありませんが、このマナー違反によって渋滞内の速度は相当低下。前後を大型トラックに挟まれた状態でのトンネル内の一寸刻みは、過呼吸に陥りそうなストレスでした。

 そして分岐点からループを経て3号線下りに合流するまでの区間は、平均速度が6km/hへわずかに上昇。そして渋滞の先頭(三軒茶屋手前のサグ)を通過するまで、4kmに合計で41分を要しています。

 平均速度5km/hの渋滞は「ほぼ止まっている」という感覚でイライラも頂点ですが、5年前に同じ区間を計測した際の所要時間は31分でしたから、渋滞は「大幅悪化」ではなく、「若干の悪化」にとどまっているといえるでしょう。

 その最大の理由は、大橋JCTのループ内を、途中から3車線に区画線を変更したことです。これによって2車線分が3号線下りへ合流するようになり、時間あたり合流台数が増加したのです。中央環状品川線開通前からこれを実行したのは、首都高の英断でした。

 そのしわ寄せで、3号下り本線側の流れは悪くなりました。しかし中央環状品川線の開通で通行台数自体が5%減少したので、こちらも大幅悪化は免れています。

 最終的に、大橋合流後の3号線下り線(池尻付近)の交通量は2%増えましたが、LEDで誘導するエスコートライトの効果が多少なりともあり、渋滞量(渋滞時間×渋滞長)は、2〜3割の増加(推定)にとどまっています。

首都高をより快適に走るには?

 全体として見ると、夕方ピーク時(17時〜19時)における山手トンネルの渋滞悪化はかなりのもので、この時間帯は一般街路へ迂回することをおすすめします。

 たとえばC2内回りから東名に向かう場合、富ヶ谷で降りて池尻で乗り直せば、20分以上の時間短縮が望めます。料金が510円余計に必要ですが、それを避けるなら用賀から東名に乗るのも悪くありません。とにかく、あのトンネル渋滞地獄だけは避けられます。

 ただ17時〜20時を除けば、首都高は相当走りやすくなりました。ネットワークが充実すると混雑のメリハリが強くなり、ピーク時には渋滞が一気に広がりますが、それ以外は従来より確実にスムーズです。

 また、3月は年度末につき混雑の激しい期間。逆に4月から6月までは、年間で最も交通量が少ない時期に入るので、4月になれば「首都高は確実に良くなった」と、より強く実感できると思います。