イチロー【写真:田口有史】

1位は上原&田澤所属のレッドソックス、3位は和田所属のカブス

 イチロー外野手が契約合意に達しているマーリンズが今季勝ち星を伸ばす球団予想でトップ5にランクインしている。ESPNが「今季を占う。最も躍進する5つの球団」と特集。1位は上原浩治田澤純一両投手の所属するレッドソックス、3位は和田毅投手の所属するカブス、5位がマーリンズとなっている。

 記事ではランキングを紹介する前に昨シーズン、前年度から勝ち星を積み上げた球団トップ5に言及。1位はア・リーグ西地区首位のエンゼルス(98勝64敗)でプラス20勝、2位は同地区4位のアストロズ(70勝92敗)でプラス19勝、3位は岩隈久志投手の所属する同地区3位のマリナーズ(87勝75敗)でプラス16勝、4位はナ・リーグ東地区4位のマーリンズで(77勝85敗)でプラス15勝、5位はワールドシリーズを制覇したナ・リーグ西地区ジャイアンツ(88勝74敗)でプラス12勝だった。一方、昨オフ、田中将大、ジャコビー・エルズベリー、ブライアン・マッキャン、カルロス・ベルトランらの補強に総額5億ドル程度の資金を投入したヤンキースが前年の85勝から1勝少ない84勝止まりだったことを例に挙げ、補強費の多寡が勝利数に直結しないとの見方を示している。

 これを踏まえた上で、今季最も勝ち星を伸ばすチームとして、上原、田澤らが所属するレッドソックスが予想されている。

 2013年シーズンに世界一に輝きながら、昨季は71勝91敗で一転、ア・リーグ東地区最下位に沈んだレッドソックス。今オフはジャイアンツからフリーエージェント(FA)となったパブロ・サンドバル、ドジャースからFAとなったハンリー・ラミレスら超大物を獲得。さらにはリック・ポーセロ、ウェイド・マイリー、ジャスティン・マスターソンという先発投手3人を補強し、2年ぶりのワールドシリーズ制覇に一気に戦力を増強させた。

 寸評では「エースがいない先発ローテーションを評価しない人もいるかもしれないが、大幅に強化された攻撃陣を評価しないことは難しい」と分析。内野から左翼に転向するとされるラミレス、ルスネイ・カスティーヨ、ムーキー・ベッツの外野陣を評価しつつ、今季ア・リーグ東地区に圧倒的な強豪が見当たらないこともプラス材料に挙げている。1992年から94年以来となる連続シーズン負け越しを回避できるとの分析だ。最低でも昨季より10勝は上積みするという見方だが、果たしてどうなるか。

 2位に挙げられているのはアストロズ。昨年の弱点だった一塁、三塁、レフト、ブルペンという補強ポイントをしっかりと強化したことが評価対象となっている。昨年の首位打者となったホセ・アルトゥーベ、クリス・カーター、ダラス・カイケル、コリン・マクヒューら主力4人が今季もしっかりと貢献すると予想し、昨年ルーキーだったジョージ・スプリンガーが打線の中軸に成長するとも分析。強豪揃いのア・リーグ西地区について「アストロズには不利な状況となるが、エンゼルスとアスレチックスが戦力ダウンで、バランスの取れたリーグになる」とも指摘している。

マーリンズはワイルドカード争いの有力候補」

 3位に挙げられたのはカブスだ。昨季は73勝89敗と大きく負け越したが、今季は名将ジョー・マドンをレイズから引き抜き、躍進を狙っている。特集では昨季リーグ12位の614得点に終わった打撃陣を入れ替え、ミゲル・モンテーロ、デクスター・ファウラーを獲得したことも評価。MVP候補とされる強打者アンソニー・リゾの存在、争奪戦の末に獲得したエース左腕ジョン・レスターの加入も評価されており、アリスメンディ・アルカンタラ、ハビエル・バエスら若手の成長も期待されている。記事ではこれらを踏まえた上で、昨年比で12勝を積み上げた85勝は可能と分析している。

 4位にはカブスと同じシカゴを本拠地とするホワイトソックスが入っている。記事では「カブスとホワイトソックスの覇権争いは今シーズンの楽しみの一つ」とし、オフに順調に戦力を積み上げた両軍の飛躍に注目している。

 アスレチックスからトレードで右腕ジェフ・サマージャを獲得し先発陣を強化し、ヤンキースの守護神デビッド・ロバートソン、メルキー・カブレラ、アダム・ラローシュという実力者を次々とFAで獲得した点を評価。コンドルの異名を持つ変則左腕クリス・セール、昨年新人王に輝いたキューバ出身の強打者ホセ・アブレイユという投打の柱が健在な上にしっかりと戦力を上積みしたチームについて、セール、サマージャ、ホセ・キンタナ投手に続く、先発4、5番手の力量の問題など課題を挙げつつも、タイガースとロイヤルズの成績次第で地区制覇を達成する可能性を指摘している。

 5位はイチローが契約合意に達しているマーリンズが入った。「マーリンズの大躍進には2つの理由がある。彼らは若い。そして、同じディビジョンに酷い球団が2つ存在する。フィリーズとブレーブスは最悪の2チームと予想されている。マーリンズかメッツは90勝到達に有利な状況となっている」と分析している。

 強みはやはりメジャー外野陣で最強と称されるジャンカルロ・スタントン、マーセル・オズナ、クリスチャン・イェリッチのトリオだという。今オフ、北米プロスポーツ史上最高額契約となったスラッガー、スタントンが中心となる外野は平均年齢24歳と若い。高評価を受ける外野陣に今回、イチローが加わることになった。

 記事ではトミー・ジョン手術で現在リハビリ中の若き大エース、ホセ・フェルナンデスら先発陣の健康状態が鍵を握るとし、「フェルナンデスが予定通り6月に完全復活を遂げることができるなら、マーリンズはワイルドカード争いの有力候補だ」と指摘。昨季地区4位から躍進し、強豪ナショナルズに次いでプレーオフ進出を果たす可能性は大いにあるとの見方だ。

 ポテンシャルに満ち溢れているマーリンズ。メジャー通算3000本安打まであと156本に迫っているイチローは個人記録だけでなく、ワールドシリーズ制覇という目標に向けてひた走ることになりそうだ。