By Edmund Yeo

音楽にはロック・レゲエ・ヒップホップ・テクノ・クラシックなどさまざまなジャンルがありますが、アニメ音声などのサンプリングとハードコアテクノを組み合わせたような音楽が「J-CORE(Japanese hardcore)」です。日本のアニメやマンガなどのサブカルチャーから派生して、世界中でもじわじわと広がっている「J-CORE」について、Red Bull Music Academyがまとめています。

A Kick in the Kawaii: Inside the World of J-Core | Red Bull Music Academy

http://www.redbullmusicacademy.com/magazine/j-core-feature



アニメ・マンガ・J-CORE・J-POP・ゲーム・同人誌文化・コスプレなどの日本のサブカルチャーは、西欧諸国でもファンが増えつつあり、DJの「A. G. Cook」や、カナダのDJ「ライアン・ヘムズワース」、海外のポップミュージックレーベル「PC Music」や「ZOOM LENS」にも大きな影響を及ぼしています。

また、世界的アーティストのレディー・ガガがボーカロイドの初音ミクと共演したことや、イギリスの音楽プロデューサーSOPHIEがきゃりーぱみゅぱみゅに楽曲提供を行っていること、海外のAnimeconやComicConなどのコンベンションでもメインコンテンツとして日本の作品が取り上げられるなど、日本のサブカルチャーは世界的にも脚光を浴びつつあります。



そんな中、「Kawaii(Cute)」という要素を取り入れた「J-CORE」の音楽を作曲する海外の音楽プロデューサーも増えつつあることに興味を持ったVivian Hostが、その起源について調査を行いました。J-COREの始まりとしては90年代後半の日本のDJ TECHNORCH (テクノウチ)m1dy(ミディ)DJ CHUCKYDJ ShimamuraREDALiCEや、アメリカ・イギリスのレイヴ音楽の影響を受けたものと言われています。

J-COREのテンプレートを作ったアーティストは高速音楽隊シャープネル。1998年にリリースされた「Sharpnel Vs Project Gabbangelion」は、新世紀エヴァンゲリヲンをもじったもの。どんな曲なのかは以下から聞くことができます。

DJ Sharpnel - Intro - YouTube

2006年に初めて海外のフォーラムで高速音楽隊シャープネルが取り上げられた時、スピードコアやフレンチコアのビートにアニメ音声が加わった音楽は当時のヨーロッパのハードコア・テクノとは明らかに異なっていたことから、「J-CORE」という新しい音楽が確立したと見られています。現在ではYouTubeで「J-CORE」と検索するとずらりと名を連ねる「DJ Kuro」など、J-COREのDJや音楽プロデューサーは存在しますが、1つのジャンルとして認められるには至りませんでした。DJ Technorchは「正直なところ、違法サイト上であっても、他のハードコアテクノと区別してダウンロードされるために、『J-CORE』がカテゴライズされる必要があったと思っています」と話しています。

Kuro - J-Core Mix #1 - YouTube

なお、J-COREはクラブミュージックの1種でありながら、クラブに足を運ぶJ-COREのファンは少ないとのこと。ただし、J-COREはインターネット上では今でも根強い人気を持っており、好きなアーティストのCDを買う日本人が多いことから、J-COREアーティストは収益を生み出すことができるそうです。DJ Technorchは「日本最大のテクノパーティの集客は500人程度ですが、トップクラスのJ-COREアーティストは何万ものCDを売り上げています。ヨーロッパの音楽シーンでは起こり得ないことですが、世界で最もテクノCDを売り上げる変わったJ-CORE集団がいることを知ってほしい」と話しています。