プロ野球で使用する統一球が「飛ぶボール」であるとの問題が持ち上がっています。10日に日本野球機構(NPB)が発表したところによると、統一球の反発係数を調査したところ、規定の上限である反発係数0.4234を上回る「平均0.426」という結果が出たというのです。

この発表を聞くと、今季のボールはあたかも「飛びすぎるインチキボール」であるかのように感じられます。

はたして本当にそうなのでしょうか。

そもそも、このボールの反発係数の規定というのは日本野球機構が独自に定めるものであり、公認野球規則で定められたものではありません。もちろん国際的な統一ルールでもありません。

そして、今年の基準は「0.4034〜0.4234(公差を認めない)」ですが、昨年までの基準は「0.4134〜0.4374(±0.01の公差を許容する)」だったのです。

統一球の反発係数基準値を修正

日本野球機構(NPB)は20日、機構理事会と実行委員会を開き、セ、パ両リーグのアグリーメントに規定されている統一球の反発係数の基準値について、2013年の統一球の仕様に合わせ、「0.4134〜0.4374」から「0.4034〜0.4234」に修正した。統一球そのものは今季も昨季と同じ仕様のものを使う。

(引用元:朝日新聞デジタル)
http://www.asahi.com/articles/ASG1N6JDMG1NUTQP025.html

わずか3カ月前の1月20日に決められた現行の基準に対しては、今季のボールは確かに合っていないかもしれません。ただ、昨年までの基準に照らせば「平均0.426」という数値は「0.4134〜0.4374(±0.01の公差を許容する)」のド真ん中。2013年基準では「狙いどおりの素晴らしいボール」なのです。

基準の変更に至ったのも、昨年のボールを検査したところ反発係数が0.416程度だったので基準をそこに合わせたという後追いの形。製造元としてみれば「去年は基準の下めのほうになっていたので、今年はド真ん中にくるよう改善した」つもりが、基準のほうからが下めに寄ってきたということに困惑しているかもしれません。

ボールが飛ぶこと自体に問題はありません。ホームランは野球の華です。球場での観戦を考えれば、ボール一個の出し入れでせめぎ合う投手戦のような「肉眼ではよく見えない」戦いよりも、ホームランが飛び出し観衆が一斉に盛り上がれる打撃戦のほうが楽しみやすいのではないでしょうか。

いたずらに今季のボールを「違反球」として、野球自体の楽しみを損なうのはもったいない話です。「つい最近決めた自主ルールには合っていないけれど、去年までなら基準ドンピシャの性能を持つ高品質のボール」「ただ基準が年明けに変わってしまった」という理解で、気持ちよく野球を見守りたいものです。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/