台湾の第4原発  建設続行の判断、住民投票へ

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(台北 25日 中央社)江宜樺・行政院長(首相)は25日、台湾最北端の新北市貢寮区に建設中の第4原子力発電所(写真)について、安全を前提とした建設続行の政府方針は変わらないが、建設継続可否を公民(=住民)投票にかけ、有権者の判断を問うとの方針を明らかにした。国会による投票提案が順調に進めば8月には実施できる見通し。馬英九総統も報道官を通し、この方針を支持すると表明した。

台湾では現在、3カ所の原子力発電所が稼動中だが、2018〜25年の間に順次、運転期間の終了を迎える予定で、政府は当初、早ければ2014年にも第4原発稼動をさせたいとしてきた。しかし、日本の福島第1原発事故を受け自治体側は慎重姿勢に転換。工事も遅れ運転開始見通しが2016年にずれ込む中、建設地の下に活断層があるとの指摘が出るなど世論の不安と反発は高まり、公民投票を求める署名活動が広がっていた。

台湾では2003年末に公民投票法が施行されてから、これまでに国防強化や国連加盟申請などのテーマで三度の公民投票が行われいてるが、いずれも不成立に終わっている。最近では、馬英九総統が2011年10月、台湾と中国大陸との和平協定に関し「仮に今後推進の必要があれば、必ず先に公民投票で民意を問う」と明言した。

台湾の公民投票は、全有権者の過半数以上が参加し、その過半数が賛成しなければ通過せず、成立要件が非常に厳しいことで知られるが、世論を二分する政策について民意の最終判断を仰ぐ措置があるという点で、台湾の民主制度における重要な役割を果たしている。