そろそろ選手たちの帰国が話題になってきた。閉会式に出たりはしないのだ。日本人は忙しい。

彼らは家族や知人との再会を喜ぶのもそこそこに、テレビ局に引っ張り出される。そして愚にもつかない質問に苛まれるのだ。

11日朝の、フジテレビのロンドンオリンピックハイライト、国分太一も帰国していた。

体操男子の内村、田中兄弟、加藤4選手がゲストに呼ばれた。国分太一が「ローラ、見たくないですか」と向けると、内村は「見たいです」と。

福田彩乃が、真似をする。

五輪から帰ってきた選手への一発目のあいさつがこれである。

この番組の中で、スタジオが凍りついた一瞬があった。

アスリートに聞きました○×アンケートというコーナーだ。

「印象に残っているシーンがある」という問いに、4人の選手が誰も○×の札を上げなかったのだ。
スタジオは静寂に包まれた。

出演者は笑いでごまかし「お願いだから札上げてよ」と言ったので、4人は何となく札を上げていたが、実に気まずい雰囲気だった。

選手は、試合見物に行ったのではなく、命を懸けて試合をしていたのだ。「印象に残るシーン」を気に掛ける余裕などなかったはずだ。放送作家や局側も、少し考えればわかると思う。

選手たちは視聴者に媚びたり、番組を盛り上げる協力をする筋合いは全くない。タレントとアスリートの区別がつかない民放は嘆かわしいと思う。