子供のころにユーゴスラビア内戦という悲劇を経験している人間にとって、チャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグのインテル対CSKAモスクワという一戦は、重要ではあっても大騒ぎすることではない。

6年前からCSKAでプレーし、217試合で31ゴールという記録を残しているMFミロシュ・クラシッチ(25)は、セルビア人とアルバニア人の緊張関係が爆発した13歳のときに、コソボにある故郷ミトロビカの家を離れた。彼は「そのことは話したくないんだ」と語る。

「僕の両親や友人たちはまだミトロビカに住んでいる。セルビア人にとってコソボが彼らの土地なのは知っている。決して出て行くことはないだろう。僕の両親もあそこから決して出ない。僕は13歳のときにセルビアのノビ・サッドでプレーするために離れた。そこに6年いて、19歳からCSKAにいる。ユーゴスラビアやコソボでの戦争はよく覚えているんだ。あまりにもキツかった。誰しもにとって最悪だったんだ。僕の友達や家族で死んだり、傷ついた人はいない。それでも、あれは全員にとっての悲劇だった。あのことは思い出したくない」

――では、サッカーについて話しましょう。そして、CSKAのベスト8進出というサプライズについて。
「僕らはすべての試合をファイナルかのように戦っている。ただ、これほど勝ち進めるとは思っていなかった。でも、ベスト8進出はサプライズじゃないよ。僕らは自分たちが強いと分かっていた。僕らはかなり長く一緒にプレーしているし、ソリッドな集団なんだ。お互いのことを以前から知っているんだよ」

――今年のCLで決めたゴール(クラシッチはクリスティアーノ・ロナウドに次ぐ4得点)で、最も美しかったのは?
「どのゴールも大切だよ。特にヨーロッパの舞台ならね。でも、ホームでのヴォルフスブルク戦で2−1としたゴールは決定的だったと思う。グループリーグ残り2試合で、僕らに決勝トーナメント進出への扉が開けたんだ。あの日、僕はすごく調子が良かった。運が自分たちの側にあると感じていたんだ」

――9月にはミランがあなたに関心を寄せていると言われました。移籍を考えたりは?
「ミランはとても強いチームだ。イタリア最強のチームの一つだね。僕はリーガと一緒に、セリエAがすごく好きなんだ。自分の特徴を考えると、セリエはベストだと思う。でも、将来について話すには早すぎるよ」

――イタリアについてご存知のことは?
「何度か行ったことがあるよ。ミラノには2年前、インテルに負けたときに行っている。残念ながら、街を見る時間はなかったんだ。今年はできると良いね。フィレンツェや南イタリアにも行ったことがある。僕はイタリアがとても好きなんだ。人は親切で笑顔だし、僕らよりもリラックスしている。食べ物も最高だしね」

――テレビで見るのが好きなチームはどこですか?
「僕は良いサッカーを見たいんだ。だから、インテルとミラン、レアル・マドリー、バルセロナを見ている。選手で好きなのは、C・ロナウドと(リオネル・)メッシだね。彼らはスピードがあり、素晴らしいテクニックも持っている。でも、ロシアにも良い選手たちはいるよ。ウチの若手の(アラン・)ジャゴエフや(イーゴリ・)アキンフェエフとかね。彼はヨーロッパでも最高のGKの一人さ」