――2007年6月に発売した前作「GOLDEN GRAPEFRUIT」から約2年半ぶりのアルバムとなりますが、制作は前作が終わってからすぐに作り始めたんですか?

NAOKI:ツアーもあったからね。

KUMI:まとめてレコーディングに入ったのは去年1年ぐらいなのかな。一昨年は3ヶ月間LAに滞在したり、行ったり来たりが多かったんだけど、その間にも何曲かはもう作っていたし。前作を作り終えてすぐ、カバー曲だけれども「Have you ever seen the rain?」を作り始めたり。

NAOKI:「Have you ever seen the rain?」が最初だったね。「GOLDEN GRAPEFRUIT」が終わって2ヵ月後ぐらいだよね。まだ本当に遊びで、いつもスタジオで色んな曲を歌っているんだけど、たまたまその週にハマっていたのが「Have you ever seen the rain?」だったんだよね。

――てっきり「Have you ever seen the rain?」は最後の方に作ったのかな?と思ってました。

KUMI:ううん。

NAOKI:時間が無くてとか?(笑)。

――そういう訳ではないんですけど(笑)、メッセージ性のある歌詞だったりもするので。

NAOKI:そうだね。そういう歌だけど、そういうつもりじゃなかったね。

KUMI:そうそう。メッセージも含め、純粋にいい楽曲なので好きだったから。

NAOKI:よくKUMIが弾いているのに合わせて俺も最初は一緒に遊んでいるんだけど、アルバムを作った直後のオフで、一ヶ月ぐらい遊びでスタジオにいた時に、たまたまやっていて。でも、せっかく休みにスタジオにいるんだったら、何かレコーディングしようよ?と言って、じゃあ今弾いている曲を録る?みたいな感じだった。KUMIは、CCRが好きだよね。

KUMI:そうだね、好きだよ。

――前作「GOLDEN GRAPEFRUIT」を踏まえて、今作はどういうアルバムにしようというイメージはありましたか?

KUMI:イメージは前作を作り終えてもうすぐに、おぼろげながらあったね。結構、前作がすごく、ある意味コンセプチュアルというか、ストイックなものだったんだよね。自分達のスタジオが出来て、初めてのレコーディングで。自分達のスタジオで好きに実験を始めることが出来たから、自分達にとって新しい音というか、鳴らしたことのない音を作りたいというのがすごくあって。とりあえず、それまでの自分達のスタイルだったり好みだったりを一回捨てて、未知の音に挑もう!みたいな挑戦があったから。

NAOKI:特に「FREEDOM」は、そういう感じがあるよね。

KUMI:うん。でも、それはそれで前作でやり切ったというか、もう満足したから。私達は一作ごとに完結していくタイプだから、作り終えたと同時に、次はやっぱり自分達のルーツに帰ろうというか、自然体でいられる音を作ろうというのは、もうすぐにあった。

――デビューされてから10周年を迎えようとしていて、その間に変化した部分も多々あると思いますが、「ルーツに帰る」という意味では、気持ちの上では変わらないものがあるということでしょうか?

KUMI:気持ちの上で信じているものというか、好きなものは変わらないね。でも、その表現がよりリアルになってきたかな?とは思うね。10年前では憧れだったり理想で描いてたものが、今はちゃんとそれが日常に降りてきているというか。そういう意味で、音とかもリアルになっているんじゃないかな。

NAOKI:10年前は、「カントリーって、こんなものなんじゃないか?」というイマジネーションで作っていた部分がすごく大きいよね。でも、今回はサンタモニカに滞在して、実際にカントリーミュージシャンとかアメリカンフォークをやっているヤツとか、色んな人とセッションをして過ごす毎日で、その3ヶ月以外にも一昨年はトータルで言うと5ヶ月ぐらいLAにいて。その中でカントリーを一緒に演奏する機会もあったし、ミュージシャンとコミュニケーションして知っていくことがいっぱいあったので、そういう部分が理想郷みたいなものじゃなくて、今回はよりリアルな形で。

KUMI:日常的な感覚で、そういう音を鳴らせるようになってきたかな。