普天間問題が鳩山政権を大きく揺さぶっている。

 鳩山首相は、コペンハーゲンで開かれる「COP15」に出席し、オバマ米大統領との会談を目指し、普天間基地移転に関する日本の方針を示すという。

 地球温暖化防止の新しい枠組みを話し合う極めて重要な会議で、わざわざ日米間の安全保障の問題を話し合おうと呼びかけるセンスには驚きを禁じえない。

 しかも、鳩山首相は国連総会でCO2の25%削減を宣言した張本人である。さらには、日米会談自体のアレンジも確定したわけではないのだという。いったいこの場当たり的な対応はなんなのであろうか。

 普天間問題を初めとして、まさしく鳩山外交の混乱を象徴する姿勢ではないか。

 それにしても、日米で合意済みだったはずの問題が、なぜここまでこじれてしまったのか。理由を端的にいえば、官邸のガバナンスと鳩山首相自身のリーダーシップが欠如しているということに尽きる。

 ここで日米間の合意を振り返ってみよう。

 米国政府は、2014年までに沖縄駐留の海兵隊の一部をグアムへ移転することを決めている。それに伴って、普天間基地の移設が「グアム移設協定」としても日米政府間で締結されている。

 その際、海兵隊8000人とその家族の計17000人のグアム移転費用として、約100億ドルの6割を日本が負担することでも合意している。

 これが日米間の基本的な合意事項である。

 日本政府は今年5月、この協定を国会でも承認し、改めて移転先を沖縄・辺野古のキャンプ・シュワブ周辺と米国側に伝えている。

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