東京都教育委員会はきょう、おととしの都立日本橋高等学校の入学者選抜において不正操作が行われ、本来合格になるべき受験者2名が不合格になっていたと発表した。

これは、都教委への告発により発覚したもの。問題が起きたのは平成18年度の都立日本橋高校の入学者選抜試験。その合格候補者決定に際して不正操作が行われ、同校を受検した2名が不合格になったという。

該当の2名はいずれもこの学校に以前在籍していた元生徒で、平成17年度に校内で暴力事件を起こすなどし、退学処分を受けている。

2名の元生徒は翌18年度に同校を再受験。筆記試験や調査書などの点数で合格基準を満たしていたものの、当時の苗村深校長(現・都福生高校長)はこの2名が入学することにより生活指導上の課題が再発することを懸念。当時の武田富雄副校長(現・都足立西高校副校長)に大して、当該2名が合格者とならないよう、合否判定に用いる成績の不正操作を指示した。

指示を受けた武田副校長は当該受検者2名の自己PRカード点および調査書点を減点させた上で、総合成績による順位をそれぞれ61位、62位とした。そして合格ラインを60位までとすることでこの元生徒2名を合格者から除外したという。

この問題について、都立日本橋高校に直撃取材したところ、不正の事実があったことを認めた上で、「現在の校長・副校長は事件後に着任しており、当時の状況は把握していない。今回の件は都教委へ一任しており、報道発表以上のことはわからない」とコメントした。

また、同校ではきょう午前に全校生徒を集めた緊急集会を開いた。集会では校長から生徒へ15分ほど事件の概要を説明した上で、この他の年に不正操作はなかったと話し、動揺しないようにと伝えたという。今のところ、生徒や保護者から本件に関する意見、問い合わせはないという。

該当の生徒2名がどのような問題を起こしたのか、そしてなぜ同じ高校を再受験したのか、なぜ当時の校長が不正操作を指示したのか、などこの問題については不明な点がまだ多い。

取材の中で、日本橋高校の担当者は「都教委」という言葉を10回以上使用した。該当の生徒2名の保護者とは現在、都教委が直接聞き取りをしているとした上で、同校への入学を希望した場合の受け入れについても「都教委の指導の下に動いているので、現段階ではコメントできない」と話すにとどまった。起きたのは過去の話としても、今後も生徒を受け入れていく上で、現在の学校の方針および姿勢が聞かれなかったのは残念である。

なお、日本橋高校ではあす、今年度(=来年2月)の受験生を対象にした学校説明会を午後2時より墨田区内の中学校で開催する。この中で校長が今回の事件についてコメントするということで、引き続き注目したい。

(編集部 鈴木亮介)

アリ?ナシ? 生徒がトイレ掃除
アリ?ナシ? 高校入試、見た目で不合格
アリ?ナシ?アノ映画から考える「小中学生の妊娠・出産」。
砂場遊びで重体、鬼ごっこで転落死…”あり得ない悲劇”はなぜ起きた?

-ITからセレブ、オタク、事件・事故まで。スルーできないニュース満載-
TechinsightJapan(テックインサイトジャパン)はコチラから!