「なびる」という言葉がある。

生まれも育ちも埼玉・白岡の筆者は物心ついたときから使っているのだが、どうも県外の人には意味が通じない。「こすりつける」という意味合いで使っていたが、「付け加える」「塗る」といった意味もある言葉だが、はたしてどこまで通用するのか。

そこでJタウンネットは2019年6月15日から7月11日まで「『なびる』この言葉の意味、知ってる?」(総得票数1597票)と題して読者アンケートを行った。その結果は――。

あまりにも使える範囲が狭い



こちらの地図は10票以上の得票があり、「なびる」を使ったことがあると回答した人の割合が50%を超えた地域に色を塗っている。

いかがだろうか。50%を超えたのは関東のわずか5県だけ。割合が高かった順で群馬、栃木、千葉、埼玉、茨城だ。その中でもとりわけ割合が高かった群馬は83.3%と非常に高い。

そして次点に71.4%の栃木、3位は予想していなかった千葉がランクインした。言われてみれば、千葉の大学に変わっていた時も何不自由なく使っていた。

「埼玉県内にいる親族の内では通じなかったことはない」とまで言ってのだが、埼玉は先の5県の中では2番目に低い53.3%と意外な結果になった。

ちなみに「都道府県別 全国方言辞典」(三省堂)でひくと、なびるは埼玉の方言との扱いになっている。それを考えると低い数字と言える。

最も低い茨城でも50%。全国では知らない人も多い中、2人に1人が通じるだけでもかなりの認知度だ。

全国的に通じると信じていたのに、まさかここまで局所的だとは思わなかった。



全国の投票結果をみると、選択肢「全く知らなかった」が66.4%でトップに立った。次点で「聞いたことも使ったこともある」が25.7%で滑り込んだ。次の「使ったことはないが、聞いたこともあって意味も知っている」を含めても全国ではわずか3割程度の人にしか通じないとの結果に――ちょっとショックだ。

東日本に偏りのあった結果だったが、西日本ではどうなのか。やはり低いのには変わりなく、最高で岡山の20%、しかも得票数はわずか2票だった。得票数が多かった大阪でも7.5%止まりだった。

結論として「基本的に群馬、栃木、千葉、埼玉、茨城以外では通用しない」と推定できる結果となった。