いまから20年前の1998年7月18日。あの大人気TVアニメシリーズ「ポケットモンスター」の劇場版第1弾『劇場版ポケットモンスターミュウツーの逆襲』が公開されました。

あの頃、期待に胸躍らせて劇場に足を運んだ小学3年生の少年は、20年後の現在、立派なアラサーになっているということです。

ファンの中では、今なお“最高傑作”の呼び声高い『ミュウツーの逆襲』。公開から数えて20周年という節目の2018年に、そのすごさを改めて紹介します。

逆風の中の公開だった『劇場版ポケットモンスターミュウツーの逆襲』

今でこそ、毎年当たり前のように公開されているポケモンの映画シリーズですが、当時は公開ができるかどうか危ぶまれている状況だったといいます。というのも、当時TV放送されていたアニメシリーズ内にて、刺激の強い発光演出が含まれていたことにより、多くの視聴者が“光過敏性発作”を起こしてしまった、あの“ポケモンショック”事故の渦中にあったからです。

当初はTVアニメで映画とリンクした内容を放送する計画などもされていたのですが、“ポケモンショック”によってTVアニメも一時的に放送を見合わせる事態となっており、その計画も中止となりました。

『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』はネガティブイメージが強い状況という、逆風の中で公開された作品だったのです。

邦画の歴史上に名を遺す世界的大ヒット映画へ

そんな逆境を抱えながらも公開を果たした『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』。万全とは決して言えない状況下での公開となったわけですが、興行結果はその逆境を跳ね返す見事な成績を収めます。

蓋を開ければ、公開初週から満員御礼。最終興行収入記録は70億円を超える大ヒットとなり、1998年公開のアニメーション映画で1番の成績を収めました。

その波は日本だけにとどまらず、世界各国での上映を果たし、映画の大手市場であるアメリカでも金字塔といえる記録を打ち立てます。全米興行収入記録は8,000万ドルに及び、2018年現在も、それを超える邦画作品は登場していません。

20年以上、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』はアメリカ市場で最も成功した邦画として君臨しているのです。

大人の鑑賞にも耐えうるストーリー

作品の内容としても、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』は歴代ポケモン映画の中でも異例の作品となっています。なんといってもテーマが重いのです。

映画のキーキャラクターとして登場するポケモン「ミュウツー」は、人工の生物という特殊な境遇を持ったキャラクター。幻のポケモン・ミュウを基に創られたミュウツーは、同じく既存のポケモンから人工的に作られたコピーポケモンたちを率いて、人間たちに牙を向くという物語となっています。

これは現実の問題として存在するクローン技術に対する倫理的な課題への問いかけとしても受け取ることができます。また同じ生物でありながら、存在に一線を引かれるという点で“差別”問題を扱った作品でもあり、そのことは後に脚本を務めた首藤剛志氏からも明言されています。

あまりにシリアスで子供には難しめなテーマであったこともあってか、後のポケモンシリーズでは、勇気や友情といった、子供にも理解しやすいテーマが取り上げられるようになりました。おかげで『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』は結果として、ポケモン映画の中でも随一の社会派といえるテーマの作品となったわけです。

そして・・・

2018年もポケモン映画が公開となります。
最新作のタイトルは『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』。TVアニメシリーズとは別の世界軸の物語として、主人公のサトシとピカチュウはそのままに、映画オリジナルキャラクターに加え、伝説のポケモンルギアや、新ポケモンのゼラオラが登場し、物語を盛り上げます。

本作では、長年ポケモン映画の監督を務めてきた湯山邦彦監督がアニメーションスーパーバイザーという立ち位置に代わり、矢嶋哲生監督にバトンタッチ。制作体制としても挑戦的な作品になります。

【あわせて読みたい】
※ 新作ポケモン映画で17年ぶりにクレジットされた首藤剛志さんとは?
※ ポケモンの世界に浸ろう!Filmarksユーザーおすすめポケモン映画ベスト5!
※ 『ポプテピピック』で大ブレイク!今注目のアニメスタジオ「神風動画」とは!?