「あの人、逮捕されたらしいよ」愛知県警の痴漢撲滅ポスターに批判 「誤解を与え偏見を助長する」
毎年きわどいキャッチコピーやデザインで物議を醸している愛知県警の痴漢抑止ポスター。今年は痴漢で逮捕された人が陰口を言われる姿を描き、誤解を招くなどの批判や疑問の声が相次いでいる。
愛知県警は、夏に向けて女性を狙った列車内の痴漢や盗撮などが多く発生し、近年はスマートフォンでの盗撮被害も増加しているとして、痴漢撲滅キャンペーンを開催。啓発用のポスターには、男性とともに「あの人、逮捕されたらしいよ。」という大きなコピーが描かれている。そして、横にはこの痴漢で逮捕された男性を見てトークする女性2人のやり取りが掲載。左側の女性がネットニュースで男性の逮捕を知ったと伝えると、右側の女性は「気持ち悪 軽蔑だわ」「性犯罪者じゃん」と返信。「仕事もクビになるよね〜 家族も悲しむだろうなあ」と送ると「そりゃそうだわ 私は一生関わりたくない」、「先月あの人と電車で偶然会ったよ」と送ると「変なことされなかった?」と返すといった会話が展開されている。
痴漢をすると周りからこのような目で見られると男性に向けて訴えることが目的とみられるが、ネットではこのポスターに批判や疑問の声が相次いでいる。弁護士の亀石倫子氏は、「これはひどい。推定無罪(裁判で有罪が確定するまでは無罪と推定される)が原則なのに、誤解を与え偏見を助長する」と指摘。被疑者を犯罪者とみなす誤った認識を広げるのではないかと訴えている。このほかにも、「痴漢冤罪は実刑ですねそうなのですね」「ネット社会にあわせたんだろうが、ネットモラル、人権に抵触する可能性ありますよ」「痴漢は許されない犯罪ですが、この表現は行き過ぎでしょう」といった意見が多く寄せられている。
一方では、「日本の場合、刑事事件での逮捕=有罪の確率高いからじゃないですかね」「偏見てか、常識の範囲内だろ。これ見て裁判まで発想するやつなんて99パーセントいないわ」といった声も寄せられている。愛知県警は昨年、痴漢「通報系女子」というポスターを展開。痴漢を即通報してワンランク上の女子になろうと訴え、「冤罪を増やす」などと物議を醸していた。