日本代表を率いたハリルホジッチ前監督【写真:田口有史】

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監督欄にまさかのハリル登場 W杯決定までの道のりは「常に順調な旅ではなかった」

 ロシア・ワールドカップ(W杯)開幕を2カ月後に控え、世界各国のメディアで様々な展望企画が実施されている。

 そんななか、英サッカー専門誌「ワールドサッカー」も公式サイトでW杯出場国紹介を行っているが、電撃解任されたはずのバヒド・ハリルホジッチ前監督が指揮官欄に名を連ねるなど、“摩訶不思議”な内容となっている。

「ワールドサッカー」誌は英国で月1回刊行され、世界のサッカー事情を網羅する人気サッカー専門誌だ。しかし、19日に公開された「日本のワールドカップ日程、陣容、グループ、ガイド」と題したW杯出場国紹介では、チームに“いないはずの人物”が指揮を執ることになっている。

 企画では最初に予選を振り返り、「順風満帆ではなかったが、日本はやるべきことをやり、ロシアへの予選を通過した」と、1998年のフランス大会から6大会連続となるW杯行きを勝ち獲ったことに言及。「重要なゲームでは堂々たるパフォーマンスを見せるも、途中にはホームでUAEに敗れる困難もあった」と最終予選初戦のUAE戦(1-2)で敗れるなど、“山あり谷あり”だったと触れている。

 そして、W杯前の親善試合や本大会グループリーグのスケジュールを紹介したのち、監督欄が展開されるが、なぜか4月9日に電撃解任されたバヒド・ハリルホジッチ監督の名前が記されている。

「バヒド・ハリルホジッチ、65歳。ブラジル大会でアルジェリア代表を率い、2015年3月に八百長疑惑で解任されたハビエル・アギーレの後を引き継いだ。ビッグゲームで若いタレントを起用して成功を収めたが、常に順調な旅ではなかった」

「真のトップレベルで成功するには問題が山ほどある」

 記事では、「バヒド・ハリルホジッチ監督は若いタレントの発掘を止めておらず、チームはまだ完成していない」と記し、西野朗新監督就任が“なかったこと”のように前任者体制下でプレビューが進められている。

 選手に関する項目では、「スター」と小見出しを立てて、MF香川真司(ドルトムント)、FW本田圭佑(パチューカ)、FW岡崎慎司(レスター)、DF長友佑都(ガラタサライ)の名前を挙げ、「全員ロシアにいるべきだ。しかし、プレー時間は大幅に短縮される」と分析。「守備の要」と題した切り口では、「マヤ・ヨシダ(吉田麻也)はディフェンスの中心にある岩だ。ホタル・ヤマグチ(山口蛍)は今やミッドフィールドのキープレーヤー。GKはエイジ・カワシマ(川島永嗣)がファーストチョイスに戻っている」と守備的選手についても紹介している。

 そのほか、「ストライカーは誰?:ハリルホジッチは3トップが好き。ユウヤ・オオサコ(大迫勇也)がセンターフォワードのファーストチョイスだが、いずれのポジションも変動の余地がある」「前線3人をお膳立てするのは誰?:ハセベ・マコト(長谷部誠)。ヨウスケ・イデグチ(井手口陽介)とシュウ・クラタ(倉田秋)は素晴らしい長距離ショットを持っている」など、Q&A方式を羅列し、最後に日本代表を総括している。

「組織はしっかりしているが、真のトップレベルで成功するには、カバーしなければならない問題が山ほどある」

 本大会での苦戦を暗示するかのような締めくくりとなっているが、ハリルホジッチ監督解任前の情報がベースのため、展望の精度はやや落ちるといったところ。果たして、西野体制となった日本代表は、英サッカー専門誌を驚かせるようなセンセーショナルな結果を残せるだろうか。(Football ZONE web編集部)