このところ逸機を責められていた香川が、ついに決めた! 彼だけでなく、チーム、シュテーガー監督は、それぞれが望む結果を手に入れた。この試合が、再浮上にきっかけとなるのか。次節(16日)のホッフェンハイム戦(ホーム)が興味深い。 (C) Getty Images

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 12月12日(現地時間)、ブンデスリーガ第16節が行なわれ、ドルトムントは2-0でマインツを下した。

 先週土曜日にブレーメンに1-2の敗北を喫し、翌日にペテル・ボシュ監督が解任され、後任として1週間前にケルンの監督を解任されたばかりのペーター・シュテーガーが就任。マインツとのアウェーマッチは、彼の初陣ということで大きな注目を集めた。
 
 また、日本人対決実現の可能性もあったこの一戦だが、香川真司がインサイドハーフ(スタート時は右)としてスタメンに名を連ねたのに対し、背中を痛めて過去3試合を欠場した武藤嘉紀はこの試合での復帰が予想されていたものの、結局はメンバー外となった。
 
 試合はホームのマインツが、1分も経たないうちにゼルダルが思い切ったシュートを放つなど、思い切りの良いプレーで主導権を握る。6分にもカウンターから、再びゼルダルがドルトムントDF陣の隙を素早く衝いてシュートを放ち、クロスバーを叩いた。
 
 その後も、ブロジンスキの左サイドでの切れ味鋭い突破などから相手ゴールに迫り、ゼルダルらによってフィニッシュまで持ち込んだマインツ。チームとしてビジョンを共有し、ボールを奪った後は素早く攻撃に転じていく様からは、チームとして勢いが感じられた。
 
 それは守備でも同様であり、序盤のマインツは帰陣が速く、数的優位を保って絞り込んでドルトムント攻撃陣に自由を与えない。ここでも、組織は機能していた。
 
 一方、ドルトムントはここまでの不振の主要因のひとつである守備面で、スペースを空けたり、相手の攻撃への対応が遅れたりするという場面が幾度もあり、それがマインツの速い攻撃を可能にするとともに、自チームにピンチを招いた。
 
 しかし、時間とともに、こちらも絞り込んでの守備が機能し、また敵陣で人数をかけてプレッシングをかけられるようになったことで、高い位置でボールを奪い、ひいては攻撃にも良い影響を及ぼすようになる。
 
 序盤は横にパスを回して隙を窺いながらも、逆に押し戻されることが何度もあったが、徐々にペナルティーエリア内に侵入するようになったドルトムント。ファーストシュートは18分で、CKから相手のクリアが後ろにこぼれたところを、背後にいたオーバメヤンが振り向きざまにダイレクトボレーを放った。
 
 オーバメヤンは41分にもヴァイグルの縦パスで抜け出して決定機を迎えたが、シュートでは冷静さとプレーの精密さを欠いて枠を外す。45分には、ゲレイロが巧みなボールコントロールから鋭いシュートを放ったが、これはGKゼントナーが辛うじてセーブした。
 
 香川は序盤、高い位置でボールを得ることができず、自陣に戻ってくることが多かったが、28分に初めて前を向いてボールを運ぶプレーを見せてからは、敵陣で攻守両面に絡ことが可能となった。
 
 それでも前半は決定的なプレーはなかった香川。しかし後半開始から10分、自身のFKからゴールが生まれる。彼が左サイドからゴール前に入れたボールをトプラクがヘッドで合わせ、ポストにはね返されたところをパパスタソプーロスがダイレクトで叩いてゴールネットを揺らしたのだ。
 
 リードを奪ったドルトムントは、58分、それまで良さを発揮できないでいたヤルモレンコが右サイドから中に切れ込み、タイミング良くヒールで前にボールを通すと、抜け出したゲレイロが強烈なシュート。これはGK正面だったものの、それまでにはなかった鮮やかな崩しだった。
 
 しかし、マインツも積極性は失っておらず、ゴールを狙って攻勢を強め、66分にはサイドの崩しからクロスを入れ、味方がニアで合わせるという、前半から見せていた迫力のある攻撃でドルトムントDF陣を慌てさせ、ここで得たCKからバログンが惜しいヘディングシュートを放つ。