初陣に見えた「森保イズム」 試合中に代名詞の3-4-2-1から4-4-2に変えた意図とは
U-23タイ代表に1-2で敗戦 東京五輪に向けた新チーム立ち上げは黒星発進
敗れた中にも“森保イズム”が随所に現れた一戦だった。
9日にタイで開幕した「M-150カップ」でU-23タイ代表と対戦したU-20日本代表は、先手を奪われる展開の末に1-2で敗戦。2020年の東京五輪を目指す森保一監督率いるチームの初陣は、黒星発進となった。
大会前から新たな戦術や新たなシステムにトライしてほしいと語っていた森保監督は、タイとの一戦でサンフレッチェ広島時代から慣れ親しんだ3-4-2-1システムを採用。短い期間のなかで確認した後方からのビルドアップや個々のポジショニングなど、試合をこなしながら成長していく場面が見られた。
そのなかで驚きだったのが、試合途中にシステムを4バックに変えたこと。前日の練習で多少試していたとはいえ、試合途中に急きょ変えることは選手にとっても想定外だったと言える。そういった状況を作った狙いを、森保監督はこう語っている。
「選手には、まずは新しい戦術にトライすることに柔軟性を持ってほしい、そして対応力を持ってほしいとも話している。ゲームの中で我々も形を変える。相手がどういう形で来ても柔軟性と対応力を持ってやっていこうというなかで、今日は選手が凄く良くやってくれたと思います。僕がいきなり試しているような、選手に難しい要求をしているのに、選手たちが良くトライしてくれていたと思う」
選手が肌で感じた代表で求められる「対応力」
ゲームキャプテンを務め、森保ジャパン初ゴールを奪ったMF神谷優太(湘南ベルマーレ)は、試合途中のシステム変更にも「3-4-3から4-4-2になったけど、ああいう中での対応力はみんな持っているので、しっかりプレーできたと思う」と振り返る。
一方で、左のウイングバックから左SBにポジションを移した菅大輝(北海道コンサドーレ札幌)は「ウイングバックの時は前から行っていい感じだったけど、それからサイドバックになってCBに動かされるようになったところで何回か止められたりもした。そういうところは自分で考えながら、もっとやらないといけないと感じた」と、今後に向けてもっと対応力を高めていく必要があると語っている。
代表として集まる期間は決して長くない。だからこそ、練習や試合を通していろいろなトライをしていく。そんな森保監督の考えが透けて見える初陣だった。
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林 遼平●文 text by Ryohei Hayashi
フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by by Football ZONE web