一方、ECB(英国中央銀行)のドラギ総裁は、10月26日の定例理事会で、政策金利の水準を据え置いたうえで、資産買い入れプログラムによる量的金融緩和を18年1月から9月まで、現在の月額600億ユーロを300億ユーロに“ダウンサイジング”すると発言しました。

 加えて、「必要であれば、それ以降も資産買い入れを継続し、金融情勢が悪化して、目標インフレ率(2%)に向けた勢いが困難になれば、資産買い入れの規模を拡大し、期間の再延長もあり得る」という発言をしました。この発言によって、ユーロは大きく売られました。いわゆる失望売りが出たわけです。

 ――カタルーニャの独立騒動もあり何かと不安定ですが、11月の予想レンジは?

 スペインからの独立を模索するカタルーニャの問題も騒がれていますが、EU全体から反対されて、米国や国連も含めて国際社会全体が反対している現状では、そう大きな問題にはならないんじゃないでしょうか。むしろ、英国とEUのブレグジット交渉の行方のほうが注目度は高いかもしれません。

 いずれにしても、11月、最大のポイントはこれら英国ポンド、ユーロの動きがどうなるのかを見極めることと言っていいかもしれません。そういう意味からすると11月の欧州関連通貨の予想レンジは、ユーロ円が1ユーロ=130円-135円、ユーロドルは1ユーロ=1.15ドル-1.20ドル。英国ポンド円は1ポンド=145円-151円というところです。

 ――10月は豪ドルが大きく動きましたが、11月は?

 10月19日に発表された豪雇用統計が市場予想を上回る好調な結果だったために、将来の利上げを意識されて、一時的に大きく買われました。加えて、ニュージーランドでは9年ぶりの政権交代もあり、オセアニア通貨が久しぶりに注目されることになりました。

 11月7日に開催されるRBA(オ―ストラリア受ビ銀行)で、政策金利の利上げを決定するかどうかですが、その可能性は微妙なところです。11月の予想レンジとしては。1豪ドル=85円-89円というところでしょうか。

 ――最後に、11相場の注意点を教えてください。

 イベント満載の11月相場ですが、やはりポイントになるのは欧州通貨と考えて良いのではないでしょうか。ユーロと英国ポンドの動きについては注目する必要があります。ボラティリティが大きくなる場合もあるので、常に注意深く相場をウォッチするべきでしょう。

 また、最近は連動しなくなってきたとはいえ、株式市場が世界的に上昇する傾向にあり、株式市場についても注視しておく必要があります。(文責:モーニングスター)。