ノーシードの16歳、内島萌夏が全日本で初の栄冠 [全日本ジュニアU18女子]

写真拡大

「DUNLOP SRIXON 全日本ジュニアテニス選手権 '17 supported by NISSHINBO」(8月8〜17日)の最終日、大阪市・靱テニスセンターでU18のシングルス&ダブルスの決勝が行われた。

 女子シングルスでは16歳になったばかりの内島萌夏(昭和の森ジュニアTS)が全日本ジュニア初タイトルを獲得。第4シードの佐藤南帆(有明ジュニアTA)を6-1 7-5で破り、昨年の"全中"に続く全国タイトルとなった。女子ダブルスは、第1シードの宮本愛弓(ローズヒルTC)/内藤祐希(TEAM YONEZAWA)が第2シードの本玉真唯(日出高)/永田杏里(南山高校女子部)を7-5 6-4で退け、U18での連覇を達成した。

◇   ◇   ◇

 昨年はU16でベスト8だった内島は、年齢的には今年も同じカテゴリーに出場してもよかった。U18にチャレンジした理由を、「去年、"全中"で優勝して自分の代ではタイトルを獲ったので、次は上の年代でどれだけ通用するか知りたかった」と説明する。

 その名前から想像する通り真夏の生まれで、一週間前に16歳になったばかりの高校1年生だ。ちなみに、名前は「もゆか」と読む。

 対する佐藤も、これまで全日本ではU16までの3つの年代を制してきた実力者だが、16歳の高校2年生。第1シードの本玉真唯(日出高)をはじめ、強者が多く出場した大会だっただけに、予想外の顔合わせだったといえるだろう。

 日本人の父とマレーシア人の母とのハーフである内島は、171cmの長身と長い手足を生かして、角度のある伸びやかなショットでここまで強豪を打ち破ってきた。特に第3シードの内藤との準決勝では、「ノンプレッシャーのチャレンジャー」という強みでアグレッシブに攻め込むプレーが印象的だった。

「強い相手ばかりというのはわかっていたので、集中して試合を楽しもうと思っていたら、ミスも少なくなって、自分のテニスをやりきることができた。まあ、たまたまというか(笑)」

 体調も万全をキープする内島に対し、左のふくらはぎにテープを貼っていた佐藤は、明らかにコンディション不良。試合中も、膝の裏を伸ばしたり、腰に手を当てる仕草が気になった。動きにキレがなく、ここまでの好調の理由でもあったサービスも、確率を落としていた。

 立ち上がりのサービスゲームと第3ゲームで2度ずつダブルフォールトをおかし、内島が3-0とリード。第4ゲームは内島が同じようにダブルフォールト2つでサービスを落としたが、結局6-1で内島が奪った。

 第2セットは佐藤が4-1とリードを広げて逆転の兆しを見せたが、復活とはいかず、4-4に追いつかれる。第8ゲームは佐藤の40-0からのサービスダウンだった。

「ファイナルまでもち込めば、アドレナリンが出て痛みが気にならなくなるかもしれない」という微かな期待を抱いていた佐藤だが、気力を振り絞ってふたたびブレークで5-4としたのが精一杯だった。

 内島がすぐにブレークバックして5-5とすると、さらに2ゲームを奪って、最終セットにはもち込ませなかった。

 佐藤の全年代制覇はならなかったが、まだチャンスはある。狙うかどうかは別として。そして内島のチャレンジは次はどこへ向かうのか、これからが楽しみだ。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美) 

※写真は「DUNLOP SRIXON 全日本ジュニアテニス選手権 '17 supported by NISSHINBO」の18歳以下女子シングルスで優勝した16歳の内島萌夏(昭和の森ジュニアTS)(写真◎松村正行/テニスマガジン)