・肥薩線の人吉駅へむかう
ここで
・JR九州が運行する特急「いさぶろう」号に乗車する
肥薩線の「ループ」と「スイッチバック」を体験できた。
人吉駅では少し時間があったので、駅のあたりを散策してみた。
ちょうど時間がよかったのか、
・「SL人吉」
・特急「翡翠・山翠」
が入線してくるなど、車両をたくさん撮影することができた。
旅先での予想外の出会いは、とてもうれしいものだ。


JR人吉駅



左が特急「翡翠・山翠」。右が今回乗る「いさぶろう3号」


そうこうしているうちに「いさぶろう」が入線。
日本三大車窓とも呼ばれる景色と、「ループ線」、「スイッチバック」を体験するべく、列車に乗り込んだ。

出発したあとはしばらく時間があるので、お弁当の「栗めし」を頂くことにした。
こうして何もせずに、お弁当が出てくるのがツアーのいいところだ。
余談だが、JR九州はこうした.“観光特急”に力を入れており、新幹線のような味気ない車内ではなく、木を生かした作りをするなど、内装にこだわっている。
このことからも、鉄道観光というビジネスに、かなり気合いが入っていることがわかる。


いさぶろう号の車内。内装に気合いが入っているのが分かるだろうか



おいしく頂いた「栗めし」


人吉を出てしばらくすると球磨川を渡り、そのあとはループ線に入ることになる。
ループ線は、急峻な山岳地帯を鉄道が登っていくために考案された智恵だ。
坂道をぐるりと迂回して登ることで移動距離を稼ぐとともに、その高低差を克服するという方法だ。
東京の人ならば、レインボーブリッジを渡る前のゆりかもめを想像してもらえば分かりやすかもしれない。

そしてループ線の途中にある大畑(おこば)駅には、坂道を登るためのもう一つの仕組みである「スイッチバック」が存在する。

「スイッチバック」は、坂道を行ったり、来たりすることで、勾配を低くして登っていく。実は、この「スイッチバック」は、先頭車両が最後尾と変わるので、運転士さんが先頭と最後尾をいったり来たりして動かしているのである。
意外に、「スイッチバック」は運転手さんにとっても重労働なのだ。


大畑駅近くのスイッチバック。これから奥側の線路にスイッチし、坂を登っていく



大畑駅でいったん停車



ループ線を上がっていく。中央に見えているのが大畑駅


大畑駅を出発して矢岳駅を越えると、今度見えてくるのは日本三大車窓と呼ばれる光景。矢岳第一トンネルを抜けると眼前には霧島連山が大パノラマとして広がる。ちょうど天気もよかったので、うっすらとだが桜島までを見ることができたのはラッキーだったらしい。


日本三大車窓の霧島連山を望む。右に薄く桜島が見えている


そのあとはもう一つの「スイッチバック」がある真幸(まさき)駅に。
先ほどは「スイッチバック」を使って登ってきたわけだが、今度は「スイッチバック」を使って下ることになる。
そして列車は、終点の吉松駅に到着して、「いさぶろう」での旅は終わった。


真幸駅のスイッチバック



真幸駅の駅舎。なかなかレトロで味がある



終点の吉松駅。右には「はやとの風」が入線してきた


ツアーは、まだまだ続く。

今度はバス乗り、訪れたのは嘉例川駅。
この駅は1903年(明治36年)に建てられた駅舎だ。
もちろん県内最古の駅舎となる。
大正、昭和、平成となった今、明治時代に建てられた駅舎を見られるのは、感慨深い。

吉松駅で一緒になった「はやとの風」はここに停車することもあるのだが、駅舎だけを訪ねてくる人も多く、駅前には大型バスが駐車できるスペースまで用意されているのだ。


1903年に建てられた嘉例川駅



味のある待合室


ここまででも内容盛りだくさんで、かなりお腹いっぱい感があるが、実は、ツアー初日のメインイベントはこれからだった。

「鹿児島市電を貸し切って夕食」
という、これまた普通の旅では味わえない嗜好が用意されていたのだ。

車中では鹿児島市交通局の「観光電車サポート大使」の方も乗り込んで、市内の案内をしてくれた。


市電を貸し切っての夕食


こうして、一人旅では味わえないほどの盛りだくさんな鉄道の旅の1日目が終わった。

そして2日目へ。
指宿で天然砂蒸しを体験。
そのあと「そうめん流し」で昼食。

九州最大のカルデラ湖である「池田湖」を見たあと、本州最南端の駅「西大山駅」へ。
ここからは指宿枕崎線に乗って指宿駅へ向かう。

そして最後の乗車となる、特急「指宿のたまて箱」に乗り、鹿児島中央駅を目指す。
ここからは鹿児島湾をぐるっと回る感じで、景色はほぼ海岸。
桜島が見えるとはいうものの、多少変化に乏しく、個人的には今ひとつだった。


日本最南端の駅「西大山」



最後に乗った「指宿のたまて箱」



こちらも車内は凝った内装になっている


そして無事鹿児島中央に到着。
お土産など買い物をして鹿児島空港に。
一路羽田を目指して飛行機は飛び、楽しい「鉄道の旅」に終わりを告げた。

今回の旅だが、個人的には、肥薩線と指宿枕崎線を完乗できればよかったと思った。
しかし、いろいろな特急にも乗れたし、様々な写真を収めることができたことで評価ポイントは高かった。

ツアー旅の特性上、あらかじめルートは決まっているが、何も考えずに旅行を楽しめるという点では便利である。また1泊2日で4万円ちょっとで、十分に楽しめる内容のツアーだったことを判断すれば、航空券や宿泊費、列車運賃などを考えてもかなりお得感が高いと思う。

こうした穴場の格安ツアーを探してみるのも、鉄道の旅を満喫する楽しみの一つかも知れない。

ちなみに今回の参加者についてだが、
アラフィフの筆者が若いグループに入るくらい、筆者よりも年上のご夫婦がたくさん参加されていたのには驚いた。さらに、こうした参加者の多くが、特に鉄道ファンというわけではないことにも、鉄道の旅を利用している人の裾野の広さを感じだ。
そして、これらの参加者が、皆さん純粋に旅を楽しんでいた様子にも心が和んだ。

ちなみに筆者だが、次回のツアーもすでに決めてある。
今度は「普段は乗れない貨物線に乗れますよ」ツアーだ。

こちらについても改めてご紹介するので、楽しみにしていてほしい。


今藤弘一