ワインは好きだけど、知識に自信はない。

そんな読者の皆さまから届いた質問を、高校生の時から(!)ワインの世界に心酔するという柳 忠之さんに、編集部が代表して聞いてみた!




Q.ワインを飲むと頭が痛くなったり、二日酔いしたり……。これってもう諦めるしかない?

――柳さん、また読者の方からご相談をいただきました!

柳「またワインに頼って恋愛を上手く進めたいなんてことではないでしょうね?」

――いえいえ今回は違います。その方、ワインがすごくお好きらしいのですが、翌朝決まって頭痛と二日酔いに襲われるんですって。それをどうにかできないかって。

柳「日本人は遺伝子的にアルコールに弱いからね。お酒に含まれるエチルアルコールは、肝臓でアセトアルデヒドに分解される。このアセトアルデヒドが二日酔いの原因なのね」

――アセトアルデヒド、聞いたことありますね。

柳「本来ならこのアセトアルデヒドは肝臓内でさらに酢酸に分解されるんだけど、日本人を含めたモンゴロイドは、アセトアルデヒドを酢酸に分解する酵素の活性能力が低い」


無添加の自然派ワインは二日酔いにならないは嘘


――でも決まってワインを飲んだ翌朝なんですって。確かに、ワインに含まれている酸化防止剤がよくないということも聞いたことがあります。だから、酸化防止剤が使われていない自然派ワインなら、二日酔いにならないって。

柳「“プラシーボ”だね」

――なんですか、それ?東欧あたりのブドウ品種の名前ですか?

柳「まあ、“思い込み”ってやつ。ワインに使われる酸化防止剤は二酸化硫黄で亜硫酸ともいう。硫酸なんてつくといかにも体に悪そうだけど、抗酸化作用や抗菌効果があり、ワイン造りには不可欠の物質なんだ」

――でも、その亜硫酸を使っていないワインもありますよね?

柳「たしかに。発酵中に生まれる二酸化炭素がワインを酸化から防いでくれるから、醸造過程では亜硫酸無添加にこだわる造り手もいる。ただ、そうした造り手も瓶詰め前には少量の亜硫酸を加えることが多い」

――へぇ、知りませんでした。

柳「第一、酵母は発酵中に自然代謝で微量な亜硫酸を生み出すから、亜硫酸ゼロのワインなんてそもそもありえない。むしろ亜硫酸を使わないと、野生乳酸菌による汚染で生体アミンが生まれ、それが頭痛を引き起こすこともある」

――酸化防止剤無添加だから二日酔いにならないというのは、思い込みなんですね。

柳「もちろん、亜硫酸を過度に添加するのは好ましくないけどね。厚労省の定める基準によると、1キロあたり0.35グラム。実際に含まれている量はこれよりずっと少ないし、ドライフルーツの亜硫酸含有量はワインの10倍近い」

――それは知りませんでした。ところで、柳さんは二日酔いになったことないんですか?

柳「もちろんあるよ。昼過ぎまで仕事にならなかったこともたびたび」

――(だから先月の原稿、なかなか上がってこなかったのか)それで、二日酔い対策はされてるんですか?

柳「家族から注意を受けて、最近、心がけているのは、ワインとほぼ同量の水を飲むこと。それから、血中アルコール濃度が高まるので、空腹での飲酒を避けること。仕事上、食べ物なしでワインだけひたすら飲むことは多いけどね」


二日酔いにならないために選ぶべきワインとは?




二日酔いにならないおすすめのワインは?

――それでも二日酔いになっちゃったら?

柳「深呼吸。肝臓がアルコールを分解するには、たくさんの酸素を必要とする。さっきも言ったとおり、二日酔いで気持ち悪くなるのは、アセトアルデヒドが残ってるせいだから、いっぱい酸素を吸って肝臓の働きを促し、これを分解させればいい」

――すーはー、すーはー。なんだか、気分がよくなってきました。

柳「暗示にかかりやすいタイプだね」

――あ〜、やっぱり頭痛い、気持ち悪い。二日酔いにならないワインってないもんですかね。

柳「僕の経験則では、美味しいワインは二日酔いにならない」

――それそれ。柳さんが最近美味しいと思ったワインを教えてください。

柳「メイヤーのピノ・ノワール。オーストラリアの自然派で、瓶詰め時を除いて酸化防止剤無添加」

――やっぱり無添加がいいってことですか?また頭が痛くなってきた!




たとえば、こんな1本
「メイヤー ヤラ・ヴァレー・ピノ・ノワール2014」

画一的でつまらないワインに終止符を打つ、ニューオージーワイン。その旗頭のティモ・メイヤーは、ヴィクトリア州ヤラ・ヴァレーのブラッディヒルで、瓶詰め時を除き、無添加のワインを造る。このピノ・ノワールは瑞々しい果実感と複雑味が渾然一体。

¥9,200/ワインダイヤモンズ TEL:03-6804-2800



教えてくれたのは、柳 忠之さん

■プロフィール
やなぎ・ただゆき 世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、ワインの達人が親身になって答える