By mulan

女性の卵巣にある卵子の数は一定で、生涯にわたって増加することはないというのが定説ですが、特定の薬物治療を受けていた患者の卵巣の検体から新しい卵子を形成している形跡が発見され、高齢出産や女性の不妊症の治療法となる可能性が示されています。

Evidence suggests women's ovaries can grow new eggs | Science | The Guardian

https://www.theguardian.com/science/2016/oct/07/evidence-suggests-womens-ovaries-can-grow-new-eggs

研究はホジキンリンパ腫の治療法である「ABVD療法」と呼ばれる薬物療法を受けている11人の患者の卵巣の検体を調査するというもので、そのうち3人はABVD療法に加えて不妊症を引き起こす可能性を持つ治療薬「OEPA-COPDAC」を併用していました。

これらのABVD療法患者の卵巣の検体を10人の健康な女性の卵巣の検体と比較した結果、OEPA-COPDACを併用していた3人の患者からは健康な女性よりはるかに少ない卵子の密度が確認された一方で、ABVD療法のみを受けた患者の卵巣の検体からは、健康な女性の2倍から4倍にあたる卵子の密度が確認されたとのこと。



研究を率いたエディンバラ大学のエブリン・テルファー教授は「通常の2倍〜4倍という卵子の密度は、新しく卵子が生産された以外に説明がつかない」と話しています。この発見をもし再現することができれば「女性の卵子の数は一定」という既存の概念を覆すことになり、さまざまな治療法に活用できる可能性が指摘されています。

しかし、これらの発見は研究チームにとっても全くの予想外のことであり、増加したと見られる卵子細胞が機能的であるかどうかや、再現方法およびメカニズムは解明されておらず、テルファー教授は「ABVD療法がどのように作用したのかは引き続き調査する予定です」と述べています。一方で、基礎科学が解明されるまでは「新しい不妊治療」として提供されないよう、いくつかの新療法に積極的な不妊治療クリニックに対して警告も行っています。

この発見について、卵子のドナー提供や不妊症・体外受精の研究を行うCenter for Human Reproduction(CHR)の所長であるデビッド・アルベルティーニ氏は「もともとあった卵子が治療によって刺激されて表面化した」「もともと分裂する予定だった卵子が刺激を受けて2つ以上に分裂した」など、などさまざまな可能性が考えられると懐疑的な見方をしており、研究が再現されるまで追加調査が必要であると指摘しています。



By Will House