右SBは、どちらがレギュラーを張ってもおかしくないが、酒井宏は9月のUAE戦とタイ戦でともに先発しており、まずまずの出来だっただけに、今回もスタメン候補とした。
 
 一方の酒井高は、その2試合では長友の負傷離脱を受け、左SBにコンバートされ、レギュラーを務めていた。しかし、長友が健在ならば、左右のバランスを考えても、左ではなく右で考えられているはず。
 
 そして左SBは、長友の一択で決まりだろう。たしかに、インテルではベンチで燻っているとはいえ、太田が長友に取って代わるほどの活躍を見せられているわけでもない。
 
 長友の状態が思ったよりも上がってこなければ、再び、酒井高を左に回せばいいだけだ。その意味では、太田はプライドを賭けて、まずは二番手争いに挑まなければならない。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【MF/7人(欧州組3人 国内組4人)】
ボランチ:◎長谷部誠(フランクフルト)/◎柏木陽介(浦和)/○山口 蛍(C大阪)/〇大島僚太(川崎)/△永木亮太(鹿島)
 
 長谷部は不動の中盤の軸。2ボランチは「守備タイプ+攻撃タイプ」を組ませるのが基本形とするならば、相棒は「後ろから組み立てる存在」(ハリルホジッチ監督)である柏木で異論はないだろう。
 
 代わり映えのしない招集メンバーのなかで唯一、初招集となったのが永木だ。ハリルホジッチ監督は「長谷部、山口、永木あたりがボールを奪う」と語るように、守備タイプに分類されており、目下のライバルは山口になる。
 
 大島は柏木のバックアッパーとして控えるが、「信頼して使い続けていきたい。能力はかなりある」と指揮官もさらなる台頭を待ち望んでいる。試合展開によっては、途中起用されても不思議ではない。
 
トップ下:〇香川真司(ドルトムント):○清武弘嗣(セビージャ)
 
 これまでは香川に「◎」を付けることになんの迷いも躊躇いもなかった。だが、今季のドルトムントでの現状――“ベンチ外”もあるほどの不遇――を考慮し、なおかつポジションを争うのが実力者の清武である以上、「〇」へのランクダウンは避けられない。
 
 しかしながら、清武に至っても、代表での序列を完全に覆すほど、新天地セビージャで躍動できているわけではない。置かれている状況は香川と大差なく、ピッチに立てない時間のほうが長くなってきている。
 
 香川がもはやアンタッチャブルな存在でなくなった以上、清武からすれば、ポジションを奪う絶好の機会かもしれない。逆に香川からすれば、これまで通りスタメンに抜擢されたとして、もしそこで不甲斐ない出来に終始すれば、指揮官もいよいよ“決断”を下すかもしれない。
 
 攻撃面で重要なタスクをこなさなければならないトップ下で、ファーストチョイスとなり得る選手が見当たらない。ハリルホジッチ監督がいかなる采配を振るうのか、注目したい。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【FW/7人(欧州組6人 国内組1人)】
CF:〇岡崎慎司(レスター)/○浅野拓磨(シュツットガルト)/△武藤嘉紀(マインツ)
 
 トップ下に似たような現象が、CFでも起きている。
 
 いくら代表で輝かしい実績を誇っているとはいえ、レスターで急速に出番を失っている岡崎をスタメン候補に推すことはできない。9月のタイ戦では右足の負傷もあり、出場できなかったが、代わりにCFで先発した若い浅野が1ゴールを記録。その浅野はシュツットガルトで少しずつプレータイムを増やしており、コンディションは悪くない。